外側から見ると衝立を立てたように高く持ち上げられて、いちばん上には本を広げた形の中に「KINOKUNIYA」と、店の屋号がローマ字で浮き出している漆喰のレリーフが掲げられ、その下には頂上が半円のアーチ型になった縦に細長い窓が四つ並び、それぞれの窓には逆三角形の窓枠が縦に連続して付いていて、まるで魚のウロコのようでした。これが、奥の狭い階段を上った二階のギャラリーの窓で、そこが『構成主義の橋・展』の会場でした。
 板張りの床に無造作に並べられた台に、模型とか図面、白黒の写真などが展示してありました。全部が橋でした。そしてそのほとんどが外国からの出品でした。コンクリートの巨大な台座の上に、まるでレース織りのように複雑に織りあげた鉄骨によって支えられた、まるでアクロバットのような構造の作品がほとんどでした。
 その名も、『未来の橋』という想像図が印象に残っています。
 山合いの峡谷に片側四車線の高速道路が描かれています。一車線そのものがとても広く、そこをスポーツ・タイプの乗用車が何台も走っていきます。一秒でも早く目的の町に到着すれば、理想とする未来に行き着くことができるという考え方が、とても刺激的に魅力的に、誰にでも分かりやすいやり方で描かれていたのです。
 それはまさに、未来の世界のやり方でした。そして、そのように谷間を走る上下八車線の高速道路をすべてひとまたぎに、その上空を一直線に突っ切る形で、ゆるやかな孤を描く一本の巨大な橋が架けられているのです。その橋とは、上下八車線の高速道路と空中で交差するもうひとつの幹線道路なんです。
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