しかも彼は直ちに劉家の次男たる待遇を受けることを許されなかった。帰参は叶ったというものの、当分は他の雇人と同格の待遇で、雇人同様に立ち働かなければならなかった。彼はその命令に服従して、朝から晩まで泥だらけになって働いているのである。当分と云っても、もう二年以上になるが、彼はまだ本当の赦免に逢わない。彼は今年二十六歳であるが、恐らく三十歳になるまではそのままであろうという。
 その話を聞かされて、私はいよいよ可哀そうになった。いかに国風とは云いながら、兵になったと云うことがそれ程の罪であろうか。それに伴って、何か他に悪事でも働いたというならば格別、単に軍服を身に纏ったと云うだけのことで、これほどの仕置を加えるのは余りに残酷であると思った。彼が肩身を狭くして、一種の継子のような風をして、他国人の私たちを恋しがるのも無理はない。その以来、私は努めて彼に対して親しい態度を執るようにすると、彼もよろこんで私に接近して来た。
 ある日、私が城内へ買物にゆくと、その帰り途で彼に逢った。彼も何か買物にやられたとみえて、大きい包みをかついでいた。
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