顔色は蒼白く、姿は瘠せて、しょっちゅう風邪を引き易い、少食で落々眠られぬ質、一杯の酒にも眼が廻り、ままヒステリーが起るのである。人と交際することは彼は至って好んでいたが、その神経質な、刺激され易い性質なるが故に、自ら務めて誰とも交際せず、随てまた親友をも持たぬ。町の人々のことは彼はいつも軽蔑して、無教育の徒、禽獣的生活と罵って、テノルの高声で燥立っている。彼が物を言うのは憤懣の色を以てせざれば、欣喜の色を以て、何事も熱心に言うのである。で、その言う所は終に一つことに帰してしまう。町で生活するのは好ましく無い。社会には高尚なる興味が無い。社会は瞹眛な、無意味な生活を為している。圧制、偽善、醜行を逞うして、以ってこれを紛らしている。ここにおいてか奸物共は衣食に飽き、正義の人は衣食に窮する。廉直なる方針を取る地方の新聞紙、芝居、学校、公会演説、教育ある人間の団結、これらは皆必要欠ぐ可からざるものである。
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テーマ「人外ファンタジー」
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