始終気の張った様子と、変な眼付とをするの外に、時折、晩になると、着ている病院服の前を神経的に掻合わせると思うと、歯の根も合わぬまでに全身を顫わし、隅から隅へと急いで歩み初める、丁度激しい熱病にでも俄に襲われたよう。と、やがて立留って室内の人々を※[#「目+旬」、第3水準1-88-80]して昂然として今にも何か重大なことを云わんとするような身構えをする。が、また直に自分の云うことを聴く者は無い、その云うことが解るものは無いとでも考え直したかのように燥立って、頭を振りながらまた歩き出す。しかるに言おうと云う望は、終に消えず忽にして総の考を圧去って、こんどは思う存分、熱切に、夢中の有様で、言が迸り出る。言う所は勿論、秩序なく、寐言のようで、周章て見たり、途切れて見たり、何だか意味の解らぬことを言うのであるが、どこかにまた善良なる性質が微に聞える、その言の中か、声の中かに、そうして彼の瘋癲者たる所も、彼の人格もまた見える。
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