まだ、その弾力の深い余韻を、私の耳の穴の中にハッキリと引き残していた。
 それをジッと聞いているうちに……今は真夜中だな……と直覚した。そうしてどこか近くでボンボン時計が鳴っているんだな……と思い思い、又もウトウトしているうちに、その蜜蜂のうなりのような余韻は、いつとなく次々に消え薄れて行って、そこいら中がヒッソリと静まり返ってしまった。
 私はフッと眼を開いた。
 かなり高い、白ペンキ塗の天井裏から、薄白い塵埃に蔽われた裸の電球がタッタ一つブラ下がっている。その赤黄色く光る硝子球の横腹に、大きな蠅が一匹とまっていて、死んだように凝然としている。その真下の固い、冷めたい人造石の床の上に、私は大の字型に長くなって寝ているようである。
 ……おかしいな…………。
 私は大の字型に凝然としたまま、瞼を一パイに見開いた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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