おまけ 「あーのぼせた……」 がしがしと手拭いで孫兵に髪を拭いてもらいながら僕が呟くと、数馬が笑いながら寝間着を羽織る。 「だいぶ長い間つかってたからねー」 「結局、誰が一番経験豊富なんだろなー」 「またその話かよ三之助」 呆れ顔で首に手拭いをかける作兵衛に三之助はけらけら笑いながら頷く。 「やっぱり鉢屋先輩かなー、話聞く限りは」 「あ、それで思い出したんだけどさ。タカ丸さんってどうなんだろうな」 三つ編みを解きながらの藤内の言葉に、何故かみんなで「ああー」と声を漏らす。 「タカ丸さんはどっちかっていうと、人付き合いが上手いって感じじゃないか」 「あー!それだそれ!」 「要動くな、乾かない」 「ぬっ、ごめん」 「要ーぼくも乾かしてー」 「ん、はいはい座って」 左門が僕の前にストンと腰を降ろし、髪をわしゃわしゃと手拭い越しに拭く。くすぐったそうにする左門を見ながら、作兵衛はふっと笑みを浮かべるとぽつりと言葉をこぼした。 「ま、いーだろ」 「そーだなー、あー駄目だお腹減った……」 「三之助はひとまず寝間着を着なさい、ほら」 「あー有難う数馬ー」 「そういえば、夕餉がまだだったね」 手拭いを首にかけ、立ち上がる。迷子にならないよう左門の手をひいて、僕が戸に手をかけるとわやわやとみんなも立ち上がった。 「今日の夕食なんだろなー要!」 「そうだなぁ、揚げ物がいいなぁ」 「揚げ物人気だし、もう残ってないんじゃないか」 「おら三之助!ちゃんと紐締めろ!」 「あー…お腹減った…」 「わー夕日が綺麗」 「数馬、足元ちゃんと気をつけろよ」 * 見切り発車にオチなんてありません。 ちなみに登場した先輩の人選はあみだくじで決まりました。ギンギンギン。 ※ブラウザバックでお戻りください。 |