66666! ※かなり以前にポロッと日記で零していたららるら主の年齢操作、現パロです。 五年生→主より2つ下 となっておりますのでご注意くださいませ! 自分のクラスの授業が、先生が出張だとかで自習になってしまった。 それを聞くやいなや飼育小屋へロケットダッシュして消えた孫兵に、自習の課題プリントを渡してくるよう先生に仰せつかった僕は授業中の廊下をテトテト歩く。 「もー……孫兵はほんっとに。時間ないし、飼育小屋で課題やるしかないよねー……一応、僕のカバンは持ってきてるけど……」 はぁ、とため息をこぼしつつ手っ取り早く、中庭の渡り廊下から外に出てしまおうと足をそちらに向けると授業中なのに生徒が1人。うろうろと渡り廊下をうろついていた。 「あれ?雷蔵?」 「!要先輩!」 思案げに眉を下げていた雷蔵がパッと表情を輝かせた。ぱたぱたと僕に駆け寄る。 「どうしたの?授業中なのに」 「友達が……」 「友達?」 「友達が教室に居ないんです……あいつ、先生に目をつけられてて!この授業次出なかったらって、この間注意されてたのに……!」 おどおどと話す雷蔵はだいぶパニックになっているらしく、顔も真っ青だ。 「だから、あ、僕」 「らいぞー」 名前を呼んで、もに、と両手で雷蔵の頬を挟む。雷蔵はぽかんとした表情で僕を見つめて、やがてぱくぱくと口を動かした。 「あ、あ、っ、!せんぱ」 「落ち着いた?なんかよくわかんないけど、出なきゃ危ない授業に友達が来てないんだね?」 「えっ、あ、はい」 「僕が捜してあげるよ」 「えっ!?」 僕に頬を挟まれたまま、雷蔵がぶんぶんと首を振る。 「そんな!先輩にご迷惑はかけられません!」 「ご迷惑じゃないよ?」 「先輩!授業は!?」 「僕のとこ自習なんだー」 「監督の先生がいらっしゃるんでしょう!?」 「その先生から孫兵を捜してくるように仰せつかってるからね。誤魔化しは効くよ?」 「あ、う……」 どうしよう、というように表情が歪む雷蔵に僕は留めにとにこり、と優しく微笑んだ。 「任せて。雷蔵は授業に戻ってね」 「………すみません。よろしくお願いします!」 「いやいや、それで……誰くんがいないの?僕、雷蔵の学年に雷蔵くらいしか知り合いがいないからなぁ。わかるかな」 「あ、それなら大丈夫だと思います。そいつ、僕と全く同じ顔してるので」 「え?」 「そいつ、鉢屋三郎っていいます」 眉を下げた困り顔で雷蔵が申し訳なさそうに出した名前は、誰からか聞いたことのある有名な生徒の名前だった。 「もし見つけたら僕の名前を出して思いっきり叱って下さい!」 ※※※ 鉢屋三郎。 誰に聞いたかは忘れてしまったが、学校で有名な生徒だ。 なぜ彼が有名なのかというと、ひとつは、双子でもないのに僕の委員会の後輩である不破雷蔵に顔が瓜二つであること。 ふたつは、成績優秀、運動神経も結構結構だが少し荒れている生徒だということだ。 「うーん」 僕がもし鉢屋三郎くんだったら、どこで授業をサボるだろうか。 「孫兵とサボるときは飼育小屋でうさぎが病気がちなときとか、本当にそんな感じだしなぁ。さすがに飼育小屋にはいないよね……」 というか、いたらびっくりします。まさか、いないよね。 空き教室……は先生が来たら隠れる場所がないし。保健室もたぶん違う。じゃあ…… 「……今日、いい天気だしね」 ぽつりとそう呟いて、僕は階段へと足を向けた。 ※※※ 屋上には誰もいなかった。 「えー」 なに僕、考え方が古いの……趣向が年寄り……? 気持ちよく晴れた青空とのんびりぼやけた空気が、まぁ気にすんなよと言ってくれているようだ。そよそよと風も気持ちよくて、ぐーと伸びをする。 さぁてここにいないとしたらどこかなー。 「ちょっと」 「!?」 気持ちのいい日差しに完璧に油断していた僕は、突然後ろからかけられた声に思わず飛び退いてしまった。 「、!?、あ」 「……」 そこには僕を睨む雷蔵がいた。いや、違う。この子が鉢屋くんだ。どっくどっくと暴れる心臓を手で押さえて、ふはーと息を吐く。 「鉢屋三郎くん……だよね?」 「!」 虚をつかれたような顔をして、鉢屋くんが固まる。たぶん、雷蔵と間違えなかったからだろう。 「あんた、誰だ?」 「あ、僕、一ノ瀬要です。よろしくね」 「ふーん、緑のネクタイ……先輩、ね」 と返事をするころにはもう、さっきのポーカーフェイスを取り戻して、僕の横を通り過ぎる。 手頃なコンクリートの出っ張りに腰掛け、フェンスにもたれかかりながらちら、と僕に視線を投げた。 「で、なんか用ですか?」 「うん」 僕も鉢屋くんの前に移動して、横に腰掛ける。鉢屋くんは眉をひそめたが無視だ。 「雷蔵から言付けをね」 「!雷蔵?」 雷蔵の名前に鉢屋くんのポーカーフェイスが崩れた。同じ顔をしているからなのか、2人は仲良しさんのようだ。 「今やってる授業、出なきゃ危ないんでしょう?」 「………ああ」 僕の話を聞くと納得したような、諦めたような表情になって、体重をフェンスに全部預けた。 「それだけですか」 「うん」 「あんた、それだけのために来たんですか?」 「え?うん、そうだよ」 「……授業中なのに」 「君が言うんだ」 くす、と笑うと鉢屋くんは眉をひそめてそっぽを向いた。 「悪いけど、行かないんで」 「え。どうして?」 「嫌いなんで、あの先生」 「……うーん」 それは難しい問題だ。 「先生になにか、嫌なこと言われた?」 「!……べつに」 「うーん」 どうしたらいいかなぁ。僕が腕を組むと、鉢屋くんはちらりとこちらに視線を向けながら口を開く。 「あんた、授業出なくていいんですか」 「あ!課題のプリントあるんだったー……うーん、んー」 僕はカバンに入れていた課題のプリントを出して、鉢屋くんと見比べる。 「……なにしてんですか」 「ここでやってもいい?」 「は?」 「いや、鉢屋くん。授業終わるまでここにいるんでしょう?僕、課題のプリントここでやるから。僕もここにいるよ」 「い、意味がわかんないんですが」 カバンからごそごそとペンケースを探し出して、シャーペンを手に持つ。 「1人でいると、よくないよ」 「………あんた、お節介ってよく言われません?」 「えっ」 さ、察しが良い子なんだな鉢屋くんというのは。鉢屋くんに適当に笑って誤魔化し、プリントに取りかかることにした。 → ※ブラウザバックでお戻りください。 |