03

忍たまを養い隊!


※※※生物委員会のバヤイ
(夢主は働きまん)(竹谷高校二年)(孫兵中学一年)(一年ズ小学校三年生)(竹谷は弟)


男女平等のこの時代。女が男より仕事が出来てなにがいけない?女が"男たち"を養ってなにが悪いの?


「で…いけたか?」


「ん…いけた…やっと…休み取れたあああああ!」


「しーっしーっ!」


「あ、ごめん」


真夜中。台所でごにょごにょと話す私とハチは、明かりは最小限に抑えて隅で料理本を広げていた。


「楽しみだなぁ…みんなの運動会行くなんていつぶりだろー?三ちゃん一位取るって張り切ってるもんねー?ふふふー」


「ああ。休み取れて良かったよ。あいつらも喜んでたし。俺も嬉しい」


「ハチ…泣かせないでよ…」


「な、なんで泣くんだよ?」


「あー楽しみ!二人三脚は私が出るからねハチ!」


「はいはい!よし、じゃあ本題に入るぞ…?」


「うん」


「「お弁当をどうするか」」


むむむむと唸りながら大きな料理本をめくっていく。ちびたちは小学校三年生。残念ながら二年間の運動会は外せない仕事のせいで行くことが出来なかった。


で も !
今までもがくように全力で働いてきた甲斐あって!堂々と休みをゲットしたのだ。ははは、ざまぁみろ。


「今までは雷蔵くんたちにお願いしてたよね。お弁当どうしてたの?」


「勘ちゃんがグルメっていうか、食通っていうか?料理が上手いんだよ。勘ちゃんが弁当作って食べてた」


「…今年もそれじゃダメかな」


「おい!ダメだろ!あいつら弁当も楽しみにしてんだから!」


「だって…勘右衛門くんでしょ…?勝てる気がしないんだけど…」


「いや…それは…あー泣くな泣くな!俺も姉ちゃんの弁当楽しみにしてんだから!」


「…ハチも?」


「、そりゃあ…まぁ、久しぶりに1日みんなでいられるし、なんていうか…」


「ハチ…」


「こんな真夜中になにをしてるんですか」


「「ぎゃああああ!」」


料理本を放り出して叫ぶと、ジュンコを巻きつけてないパジャマ姿の孫兵が唇に人差し指をのせて「しーっ」と言いながら立っていた。


「ま、孫兵…」


「脅かすなよ…あー」


「こんな真夜中に…嫁入り前の姉さんと盛りのついた兄さんが……なにをしているんですか」


「孫兵くんはなにを言っているんですか?寝ぼけてるんですか?」


「誤解を招くようなことを言うな孫兵!トイレか?」


「話し声が聞こえたから」


その言葉にあーと2人で苦笑した。起こしちゃったか。


「ああ、ちょうどいいや。孫兵はなに食べたい?」


「は?」


「運動会。孫兵も行くでしょ?ていうか来なさい」


「…姉さん、運動会行けるの?」


「休み取った!みんなの好きなもの作るよ!勘右衛門くんに習って!」


「…そっか」


心なしか嬉しそうな顔をした孫兵がちょこんと私の横に座り込む。そして料理本を広げた。


「孫兵はなに食べたい?」


「玉子焼き」


「甘いの?」


「うん」


「ハチ。たしか虎若甘いの苦手じゃなかったっけ?」


「ん?ああ」


「じゃあだし巻き玉子と二種類作ろう。ハチはなに食べたい?」


「ハンバーグ」


「小学生かよ」


「なんだよ!いーだろ!」


ギャスギャスうるさいハチを放っておいて、孫兵とページをめくっていくと"キャラ弁"なる項目をみつけた。


「キャラ弁かぁ…難しいかなぁこれは…」


「あ、そういえば兵助たちも来るって」


「ワーオ。重箱ルートじゃないのよ」


あったかなー重箱。
なぜか真剣にキャラ弁の項目を読む孫兵に料理本を渡して、上の棚を開ける。


水筒やらが入っているなかにちらりと重箱を発見した。


「なにみてんだ孫兵」


(あ、やっぱり数は無いよねぇ…)


「キャラ弁。兄さん、ジュンコの作ってよ」


(勘右衛門くん家に重箱とかあるかなぁ)


「おい…あの色をどうやって出すんだよ」


(小学生が4人に中学生が1人…高校生が5人…)


「カニカマとか」


(えー重箱何個いるのよ)


「あ、なるほど」


(ん、もうちょい、)


ズルッ と。
重箱を取り出そうとした私の足がそれは綺麗に滑った。


「ふぇあっ!」


「ぬぁ!?」


ドンガラガシャーン!
文字通り盛大な音をたてて、鍋やら水筒やら床に散らばった。素早く台所のテーブルの下に避難した孫兵が視界に映って、背中の感触に慌てて体を起こす。


「ハチ!大丈夫!?」


「…うぉお…」


「どうしたのー!」


「ドロボー!」


バターン!
とこれまた盛大に扉から飛び出してきたちびたち。三ちゃんと虎若が「うぁちょー!」とか訳のわからないことを言いながら、寝ぼけ眼に変な構えを取っている。


孫次郎と一平は孫兵に駆け寄っていた。


「あーごめんみんな…ちょっと重箱取ろうとして…」


「重箱…?お弁当?」


「あ、運動会の!」


察しのいい一平がぱっと顔を輝かせて私に飛びついた。孫兵は涙目の孫次郎をあやしている。


「えー!?お弁当!?」


「僕エビフライがいい!」


変な構えをやめて三ちゃんと虎若まで飛びついてくる。ハチは苦笑して台所の電気をつけた。


「しゃーない。みんなでお弁当考えるか」


その言葉にちびたちがサッとテーブルにつく。孫兵が真ん中に料理本を置いて、いつもの席に座った。仕方ないなぁ。私はにっと笑った。


「なに、食べたい?」



生物委員会を養い隊!
(エビフライ!)(コロッケー!)(トンカツ…?)(僕、唐揚げたべたい)(なんでみんな揚げ物なの…却下却下!)((((えー))))

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