いいんかい
※主すでに三年みんなと顔見知り&名前呼び。
「いいんかい」
「そ。委員会だ」
「孫兵はもう決めたの?」
「あぁ、僕は生物委員会にはいる!そうすれば、ジュンコの世話も出来るし…長期休み後に他の虫たちも連れてこようと思ってるんだ!」
ご機嫌で饒舌になっている孫兵に、僕は「へぇ」とだけ返して、忍たまの友を閉じた。
「うーん…僕はどうしようかなぁ…」
「要ー!」
「?あれ左門…って、僕はこっちだよ。それは孫兵」
「なんだ孫兵か!元気か!?」
「あ、ああ」
「どうしたの?」
「次、いろはで合同授業なんだよ」
三之助と作兵衛、数馬や藤内まで、みんな一緒にわらわらとい組教室に集まる。
「みんなお揃いで」
「あー…やっと教室か…」
作兵衛に疲労の色がみえる。この2人はまた作兵衛を困らせたらしい。
「なんの話してたの?」
「委員会の。数馬はなに委員会に決まったの?」
「…保健委員会」
「わぁ…」
保健委員会といえば代々不運な生徒が選ばれるという、不運中の不運として名高い委員会だったはずだ。
「藤内は?」
「僕はまだ決まっていないんだ。ただもうすぐ新しい委員会が出来るらしいから、そこがいいなぁって」
「へぇ」
「へぇって。要は決まったのか?」
「え」
藤内が呆れたような視線を僕に向ける。
「せっかく希望を優先してくれるって先生が仰るんだから、はやく決めないと。…数馬は、なぜか指名だったけど」
「言わないでよおぉ…」
「要!こういうのは迅速な決断力で、さっさと決めてしまうのだ!」
「迅速な決断力で左門はなに委員会にしたの?」
「会計委員会だ!」
「左門は記憶力がいいからピッタリじゃないか?ちなみに俺は体育委員会」
「その記憶力で道を覚えろ!なんの役にも立ってねーじゃねぇか!」
「わあ!?なにをするんだ作兵衛!?」
「うるせぇえ!」
忍たまの友でバシバシと攻撃を始める作兵衛に僕は苦笑して、やんわりとそれに巻き込まれている数馬を助けた。
「うーん、なに委員会に入ったらいいかなぁ」
×××××××××
「一ノ瀬」
「はい」
合同授業が終わってみんながさっさと食堂に出向いているころ、僕は先生に資料の束を押し付けられていた。
「すまん、頼むな」
「はぁい…」
他のみんなは友情より空腹が勝ったらしい、裏切り者め。「席取っておいてあげるから」と苦笑する数馬に免じて許してあげないこともない。
「…ええと、どこだっけ」
先生の用件は、"自分の代わりにこの資料を図書室に返却しておいてほしい"とのこと。
しかし、肝心の図書室の場所を僕は知らないことに気がついた。図書室はまだ利用したこと無かったんだっけ…
「どうしよう…」
「どうしたの?」
「!」
思わず持っていた資料を落としそうになってしまう。恐る恐る振り向くと、優しげな表情で僕の顔を覗き込む先輩がいた。
「…え、あ、あの」
「はじめまして。僕は三年ろ組の不破 雷蔵って言います。よろしくね」
「あ、一年い組の一ノ瀬 要です」
ぺこ、と頭を下げる。
不破 雷蔵先輩。忘れないように、何回か頭のなかで繰り返してから顔を上げた。
「それでどうしたの?困っていたみたいだけど」
「図書室の場所がわからなくて…」
「なぁんだ、そんなことか」
ふ、と一瞬だけ表情を緩めて、不破 雷蔵先輩はにこ、と笑顔を浮かべ僕の手をひいた。
「じゃあ連れて行ってあげよう。僕、図書委員会だから」
→
続きます
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