第一章



「えー、であるからしてこのとき作者は〜」

あぁ、少し考え事をしてしまったようだ。
テストも近いのに宜しくない傾向だ。集中し直すとしよう。
それにしても現代文というのはどうしてこんなに押しつけがましいのだ。
明るい世界に生きる  『将来有望』 な作家様の考えなどわかるわけがない。
ましてや人生の糧にするなんて死んでもごめんだ。死ぬほうがごめんだが。


「はぁ、、、」
いつもどうりの憂鬱な気分だ。この高校に入ってに早一年。
何度ため息を漏らしたことか。

黒板など見たくもない。頬杖をついて外を見る。もうこの動作も慣れた。
いつ頬にあざが残ってもおかしくないな。

俺は目がいい。それ故見えすぎてしまう。
一年生が球技をしているのが目に留まる。
「元気だなぁ、、、」

おっと危ない。口に出てしまった。周りは気づいてないようだ。
あるいは無関心なだけかも知れん。ま、関心を持たれるなどこっちから願い下げだ。
寧ろ近づくな。お前らの脳内花畑が移る。

それにしても球技であんなに楽しそうにしてるなど幸せな人間だ。
下を見てても仕方がないので上を見るとしようか。
相変わらずの春先の気持ちよさげな空とが広がる。

まあ、気持ちいいなんてのは人間の主観で、単に精神的な問題だろう。





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