「どうすれば食べられなくて済むのかな。」
「プレデターにはユーモアがあるってしってる?」
言葉を重ねれば重ねるほどにわからなくなっていく。
「人を驚かせて楽しんだりするんだよ」
僕は基本的に気持ちの悪いものが苦手だ。
あの緑色の体液や、飛び散っては焼け野原を作っていく
あの血肉も、思い返しただけで体中が粟立つ。
僕の青ざめているであろう顔を覗き込んで木瀬は嬉しそうに笑みを一層深くする。
「だから、私はね、匙君はプレデターかなって思うんだ。」
ん?今、木瀬はなんと言っただろうか。
「匙..沼..?」
「ご明答。さすがの山本君でも知ってる。彼はプレデターで。
プレデターは足元に潜んでる。んでもって...」
木瀬の細くて長い指先が僕に伸びる。とっさに上半身を引こうとしたところで
木瀬の指先が僕の上唇に押しつけられる。
「静かにすればわかるんだって。」
そう言ってから木瀬は口をつむぐ。僕は木瀬の指の所為で口が開けず、
公園から僕と木瀬の声が消える。
聴こえろのは風の音と、
はっきりとした重い電子音。
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