街頭と木と、ぽつりと配置されたベンチ、暗い沼。
繰り返し、繰り返し、景色が過ぎていく。
夢の中で闊歩しているような身体中のねじくれた感覚に翻弄され、
単調な景色はさして退屈だとは感じなかった。
ふと、視線を正面に向ければ数メートル先の方で
ずっと直線だった遊歩道が右側に曲がっていた。
折り返し地点。僕の謎の徘徊もそろそろ終わる。
夢見心地を味わっている所為か、こころなしか瞼も重いし。
「帰ったらすぐ眠れ....ん?」
ふと視界に人影。人影が揺れてきらりと金色に何かが光る。
遊歩道沿いに右に曲がるのではなく、このまま直進した先にある申し訳程度の遊具場。
街灯がスポットライトのように一点を照らし出している。
そして、スポットライトの零れ日にぼんやりと映しだされる隣のベンチ。
ベンチの上の、人影。
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