天気は心の写し鏡だとか。1/3




木瀬と僕が中庭を後にしたタイミングは絶妙だったようで、
丁度、僕達が下駄箱で土足から上履きへと履き替える頃に雨は降りだした。

「どうせ振るなら堂々と降ればいいのに」

と、木瀬の感想。

「まさか、本当に山本君の寂しい気持ちが雨雲になっちゃうなんてね。
 これじゃあ、屋外で食べてる子のご飯がお茶漬けになっちゃう。」

「水浸しじゃなくて、お茶漬けですか。」

「そっちの方が夢があるじゃん」

望みもしない自然現象的なお茶漬けに、夢があるかどうかは
木瀬の世界観で。

「まあ、お茶漬けは食せるし。水浸しよりはマシな待遇だけど」

「山本君のあばずれ。」

山本君のあばずれ、山本君のわからずや。という解釈で相違ない。
これも木瀬の世界観で。

「山本君の寂しい気持ちが、お茶になったんだよ。お茶は緑だよ
 緑は安心感や安定、調和を表すの。だから、山本君の心は安定?」








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