「奇跡」でも起こらない限り、指名されることの無い授業は
あっという間に終わっていく。
さながら、つけっ放しのテレビ画面が、止め処なく流れ映り変わっていくように。
時折、感じる木瀬の視線すら、現実味に乏しいものだった。
みんな本当は、揃って僕のことを無視しているんじゃないだろうか。
僕は、自覚しているよりもはるかに卑しい奴で、嫌われるのも当然で、
だから、木瀬以外の人間は僕に関わろうとはしないのではないか。
いや、そんなわけ無い。
先生も巻き込んでそんなこと。余りにもぶっとびすぎた憶測だ。
でも、誰からも感知されてこなかったのは事実。
徹底すれば、意図的な「無視」で僕のこの体質もでっちあげられるのでは無いだろうか。
そんなことばかりが、何度も何度も頭の中で繰り返される。
今の僕は、疑心暗鬼に忙しいのだ。
全く持って無意義な自問自答だというのは、僕だって理解している。
そんな心の塞ぐことしたくないけれど、それ以外にすることはないし
クラスメイトの顔を見れば見るほど、疑いは底へ底へと深くなって、泥沼化していく。
なにより、最低な僕はこの孤独感が自分の所為だなんて思おうとしない。
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