I feel kind of lonely.1/4



形容しがたい閉塞感。
鬱々とした気持ちで入る教室は、病院の片隅に置かれた水槽のようだった。

席につき、鞄を片付けて、読書を始めようと急ぐが、
いつもの動作でさえ、鉛の中じゃまともに行うことができない。

自分の席を見失い、鞄の中身を取り落し、本のページで指を切って
いつもどおりの読書の姿勢につく。

縋るように右斜め前の席を見やる。木瀬はまだ来ていないようで、空白だけがそこにある。


少しして、ミオが入って来た。
彼女のマイナスイオンに吸い寄せられるように、
教室の入り口にして、退屈そうにしていた女の子達が集まっていく。

その中には、昨日の麻呂眉もいる。ちいと名乗った女の子。
「たまきちが来たー」なんて言われて、嬉しそうに小突かれている。


いつもは、なんら気にならない風景のはずなのに。
本を置いて、そちらに目を向けたまま動けない僕がいる。

昨日、女子の集団の中心で笑うあの2人と僕は話したのだ。


馬鹿みたいに覚えている。背骨の軋みと、保健室の冷たさ。
匙沼の狂気に、サキの掌の温もり。






prev next



- ナノ -