邂逅は保健室にて。1/4




「ウゥゥァアァァアアアア゙アアアアァァァアァアァアア」


張裂けんばかりの叫び声が周囲の空気を焼いた。
少なくともその時、僕にはそう思えた。

息苦しさのあまり目を覚ませば、痛いほどの清潔感を発する天井と
ベットを仕切るカーテンが、視界いっぱいに広がる。

自分の寝かされている場所が保健室であると理解するのに
大した時間は必要としなかった。


身体を起こそうとした途端、背中に鋭い痛みが走り、
読書中に身体が弾き飛ばされたのを思い出す。

―あのまま、僕は意識を失ったのか。


背骨のあげた悲鳴が今でも耳に残っていた。
なんて後味の悪い音なのだろうか。



痛みに顔を歪めながらもなんとか身体を起こし「はあ」と浅く溜息をつく。

自分の身になにが起こったのか定かではないけれど、
誰かの悪ふざけの流れ弾に当たってしまったとか、おおむねそんなとこなのだろう。

運が良いのか、悪いのか。僕には判断がつかない。

じわり、と周囲の音の境界が溶けだしていた。
時計の秒針の音も、微かに聞こえる保険医の声も、綯い交ぜになって鼓膜を揺らす。

どうやら、耳がハレーションを起こしているようで。
先程のあの叫び声の所為だろうか。

僕は痛みを残す耳を、労るように指で触れる。

先程の叫び声が耳のずっと奥の方で木霊する。

鼓膜にふてぶてしく居座る耳鳴りはまだ消えてくれそうにない。

「...にしても。」

保健室で叫び散らしてくれるとはどれほどの狂人なのだろう。





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