ヒロインが迎えに来たら。4/6



「僕が、山本ですけど。えと、どちら様?」

僕の言葉に、3人が3人きょとんとした表情になった。
どこか、"私達のこと知らないの"的なニュアンスが含まれているような感じがある。

ことに切れ長の瞳の女の子に関しては殺気を感じる様な、気もする。

口の中の水分が急速に乾いていくのを感じた。


ぴこん、頭に豆電球でも浮んだような一昔前の表情で
最初に、特徴無しのポニーテールが口を開いた。

どうやら彼女は僕の心情を感じとってくれたらしくフォローに回る。

「ああ、安心して。サキいつもこんな感じだから。
 決して、やま...んー..?」

しかし、僕の名前の手前で黙り込んでしまう。

「やま...山下君だけを殺そうと思ってるわけじゃないから
 安心してね。」

にこーっと人懐っこい笑顔で誤魔化されました。
勿論、僕の名前は山下では無く山本です。
 
「まあ。つまりは、この子が、和笠咲。サキちゃんです。」

特徴無しのポニーテールに紹介され、切れ長の瞳の絶賛殺気放出中なサキが会釈をする。

ほんの一瞬ではあるが、会釈の間に好意的な笑みがちらりと見えたような気がした。
好戦的な笑みといわれたら、まさにそれなのだが。


「そんで私が玉木千衣、俗に言うたまきちです。」

俗に言う、なんて言われても全くピンとこないのだけど。

と、特徴無しのポニーテールは名乗りながら、
おもむろに、なぜか自分の前髪をたくしあげはじめている。

僕の目は誘われるままに彼女の額にとどまる。






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