「僕が、山本ですけど。えと、どちら様?」
僕の言葉に、3人が3人きょとんとした表情になった。
どこか、"私達のこと知らないの"的なニュアンスが含まれているような感じがある。
ことに切れ長の瞳の女の子に関しては殺気を感じる様な、気もする。
口の中の水分が急速に乾いていくのを感じた。
ぴこん、頭に豆電球でも浮んだような一昔前の表情で
最初に、特徴無しのポニーテールが口を開いた。
どうやら彼女は僕の心情を感じとってくれたらしくフォローに回る。
「ああ、安心して。サキいつもこんな感じだから。
決して、やま...んー..?」
しかし、僕の名前の手前で黙り込んでしまう。
「やま...山下君だけを殺そうと思ってるわけじゃないから
安心してね。」
にこーっと人懐っこい笑顔で誤魔化されました。
勿論、僕の名前は山下では無く山本です。
「まあ。つまりは、この子が、和笠咲。サキちゃんです。」
特徴無しのポニーテールに紹介され、切れ長の瞳の絶賛殺気放出中なサキが会釈をする。
ほんの一瞬ではあるが、会釈の間に好意的な笑みがちらりと見えたような気がした。
好戦的な笑みといわれたら、まさにそれなのだが。
「そんで私が玉木千衣、俗に言うたまきちです。」
俗に言う、なんて言われても全くピンとこないのだけど。
と、特徴無しのポニーテールは名乗りながら、
おもむろに、なぜか自分の前髪をたくしあげはじめている。
僕の目は誘われるままに彼女の額にとどまる。
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