第二章
確かに、確かに俺はすべてを消したいとか俺だけの世界になればいいとか思ったことも多々あった。
だから母はある意味俺の障害になっていたかもしれない。
しかし。
しかし。
楽しかった、恵まれていた思い出が俺の脳へと流れ込む。
嗚咽が止まらない。真紅のカーペットが涙で滲む。
悲壮感や喪失感はどこにもない。
わからない。
理解できなかった。
なぜ俺はあの時涙を流したのか。
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