第二章





それらを認識してから時間が経つのが早くなった。

周りを見るのをやめ、
自分一人で自分についての回想に耽るようになったのはこの頃からだ。

それから程なくして俺が転校することが決まった。
理由は極めて明快だ。両親の離婚。

説明はこの一言で事足りるだろう。
俺が幼かった頃、、そう。近所の友人と砂遊びをしていたぐらいだろうか。

母と父はとても優しかった。
夕食は毎日みんなで食べて、週末はいつも父の運転する車で遠くに連れてってもらった。
水族館、動物園、映画館、高原、海。
とても幸せな、日常だった。
俺は、この日常に生きたかった。もっと色々して貰いたかった。

しかしあの時、俺はまだ知らなかった。
俺がいい子であることが、彼らの絶対条件であったことを。


小学校にいじめがばれて呼び出された日があっただろう?
あの日、俺は母から平手打ちをくらった。
父から激怒された。

「お前は俺らの期待を裏切るのか?なぁ?」

「俺らの前でのお前は嘘だったのか?」

「お前なんて知らない。」

わからなかった。なんて返せばよかったのか。

俺はただ俯き黙ることしか出来なかった。
母は終始泣いていた。

その日から、俺らは全員バラバラで食事を摂るようになった。

週末に父が仕事の日が多くなった。

事実かは今では確認の仕様がない。
母は家にいたようだったが顔を合わせることはなかった。





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