二番隊隊舎の浴場



 疲れでよく回らない頭をふたりで揉み合って報告書を飛ばした後の風呂ってやつは、なんたってこうもかったるいのか。なんとかお互いの尻を蹴り上げながら浴場まで来たはいいものの、ざっと身体を流して湯に浸かったところで全てのやる気が消失した。ありとあらゆる力が温水に吸い上げられている気がする。フィエロはもうここに永住する腹積もりなのか、湯船の縁でぐったりと顔を潰して溶けている。後ろから見ても横から見ても白い毛の塊にしか見えないから多分前から見ても毛玉なんだろう。新品のモップみたいでカワイイ。絶対これで掃除できない。お部屋のインテリアにして夜は抱いて寝る。ほんといま頭働いてねーな。
 欠伸を噛み殺し、睫毛に溜まった湯気の雫を手でぱっぱと払ったところで頬に突き刺さる視線を感じて白毛玉のほうに顔を向ける。毛玉を脱却して半毛玉ぐらいになったフィエロは未だに上半身を蕩けさせながらも首をもたげ、濡れた髪の毛の隙間から赤い目を覗かせて俺を凝視していた。

「やだ……お兄ちゃんのパーフェクトボディがそんなに魅力的なの……? フィロちゃんなら……イイよ?」
「お前、そんなところに傷あったか?」
「えっ、すっげー無視するじゃん……」


――――
19/01/16


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