暗晦な部屋



 誰しもの周知の事実であるが、第二研究室の所属研究員であるアドモシーノ・メッゾネロは性格が悪い。
 性質は至って陰気。どんより暗い眼差しはありとあらゆる世の事柄に対してひねくれきってねじきれてしまうのではないかと思うほどに歪んだ見方をし、呪いのことばにも似た重苦しい声は世界中の湿気を煮詰めたかのような響きをしている。
 実兄のプーロウノを燦々と輝く太陽とするならば、アドモシーノは陽光を嫌って地中深くで息をひそめているモグラだった。

「まあ、つまり、何が言いたいかって言うと、そんな君と仲良しなノスティジェーヌさんってだいぶ変わってるよねって」
「……アンタはそんな性格の悪い俺にそんなこと言うためだけにわざわざこんなカビ溜まりみたいな部屋まで来たわけ」
「えーっ。そんな暇そうに見える?」
「見えるけど」

 水みたいなコーヒーを啜りながら、アドモシーノはじっとりした目付きでこちらを睨み付けた。ただその視線は顔には決して注がれないから、さほど迫力はない。ただどこかじめじめと部屋の湿度が増したような気がするだけだ。

「用がないなら帰ってよ」
「ちなみに俺の名前、覚えたりする?」
「…………ピスタチオさん」
「あ、惜しい〜。ピステイオ」


――――
19/12/14
サブタイ:アドモシーノきゅんは性格が悪い


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