放課後嫉妬倶楽部



 しんとした教室、誰もいないのを見計らって、今日も今日とてみんなであいつの机に彫刻刀を滑らせる。誰も何も口をききはしない。一心不乱にあの女の持ちものという持ちものに傷をこさえるさまは、ともすれば儀式のようにも見えたかもしれない。
 そう、これはきっと一種のサバト。あたしたちは、キリストの血の代わりにジェラシーを煮詰めて回し飲む。
 綺麗な顔したお人形。数多の男の心を射止め弄ぶ清楚な娼婦。なんにも汚いこと知らないふりで、きっと裏ではあたしたちを馬鹿にしてるんでしょ。
 深く深く殺意を木目に刻んでも心が晴れなくて、机の中にしまい込まれた教科書をびりびりに破り捨てる。
 あんたさえいなきゃ、彼はあたしのだったのよ。




―――
21/12/16

画:天さん
(skeb(天さんのユーザーページはこちら)にて依頼しSSのイメージイラストを制作いただきました。ありがとうございました!)

@evealice617



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