頭が高い



 風にちぎられた雲は少しもしないうちに融け消える。
 見上げるおれを見下ろすお前は高慢だ。
 池に浮かべたところでそれはただの気休めで、結局遥か頭上に燦然と輝く事実は暗雲のように消えることはない。

 手酌をし、一拍。

 星が蹴落とされたそのときは、果たして世界は見違えるのか。
 目蓋にこびりつきこそすれ、媚びた顔つきはいったい何を呼び覚ますことができただろうか。
 白粉を塗りたくったような人形の面では酒の肴にもなりはしない。
 あれは、おれは好きじゃない。
 杯の水面に浮かぶ珠を飲み下して火照る胸の内を吐き明かした。
 朝が昇れば生白い顔が上空に輝く者のように俺を見下さんとするのだろうか。

 ならば。

 杯を投げて波紋を呼んだ。


―――
〜2016/01/13(正確な時期不明)
微修正.2024/06/07


TOP > story > short
×
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -