愛らしきかな肥え太ったお前の自意識



 思い上がりを排しなさい。自惚れを恥と知りなさい。あなたはこの世に幾多数多ある有象無象のひとつにしか過ぎはしない。
 誰もあなたのことなんて見つめていない。誰もあなたを心の底から必要なんてしていない。たった一度きり目に留められて、ほんの一度だけ心の隅に触れられて、そうして可哀想にすぐに丸きり忘れ去られていく。
 ねえ、あなたは誰かに愛されるほど自身に価値があると? 誰かに憎まれるほど大きく心を割いてもらえるとでも? 世にふたつとない、唯一無二の存在だって?
 素敵なものの考えかたね。可愛らしい空想をするものね。誰かの人生にとって、あなたの代わりなんていくらでもきくのに。
 自分の存在や行動が自分以外の世界に影響を与えると、本当に思っている? いけない子ね。そうやってくだらない夢想ばかりしてないで、目を開けて窓の外をご覧なさいよ。いったい誰があなたのほうを向いているの?

 でもね、私だけはあなたを見つめ続ける。あなたが一生に得る関心の全てを与え続けてあげる。だからもう、私以外に期待するのなんておやめなさいね。


―――
23/01/21


TOP > story > short
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -