素直に言えない


「凄さんのバーカ!!」

開口一番、出会い頭に与四郎に睨みつけられた。

「………は?」

訳が分からないと首を傾げると、与四郎はビシッとこちらに指を向ける。


「…何で18期凄さんが先に出演してるんだぁよ!!!凄さんだっておらよりずっと前にアニメ出演してるじゃんか!!おらが先の方が良いに決まってるべ!!」
「……それかよ!!だいたいお前俺17期出てないし、お前の前に出てたけど、きっと存在も認識されないくらいだったろうよ!!しかもお前回想シーンで出てきただろ!?俺なんて、オープニングなんて顔隠れてるんだからな!?」
「えっ、凄さん気にしてたの?」
「お前俺を何だと…って」


与四郎がビックリした顔をするのを見て呆れるが、俺はアニメ出演の感動に、反応が鈍くなったが、そうだ俺アニメ出演したんだった!!しかも、目立つ役柄で!!
そのまま、嬉しくて与四郎を抱きしめた。


「与四郎君!!」
「へっ?」
「与四郎!!凄い!!アニメって凄いな!!」

ギューギュー抱きつくと、背中に手が回ってグイグイ引っ張られる。

「すっ凄さん…苦しい」
「あっワリィ」

バッと腕の力を緩めると、何だか顔が真っ赤になった与四郎がいた。


「あんな……オラは…文句言いに来たんだべ…」
「………」

ジワジワと染まる頬の赤を見つめる。可愛い。

「良いじゃんか別に、喜びは分かち合うもんだろ〜?」
「……そうだぁよ」
「ん?」

赤くなったと思ったら、急に真面目な顔をしてこちらを見つめる。

「アニメ出演……おめでとう!!」
「……っ」

あぁもうどうしてこの子供はこうなのか!!
どうやら素直に言えなかっただけらしい
素直じゃない愛しい子供は、顔をさらに赤らめそっぽを向いた

素直に言えない


意地っ張り、そんなお前が言うのだから、俺も答えなきゃなんねぇと思うわけだが、俺は、返事の代わりに、与四郎を強く抱きしめた。

「…っ何か言えよ!!」
「…無理、ぜってぇ恥ずかしい」
「ズルい!!」
「ズルくて結構だ!!」

素直に言えないのは俺も同じか…。


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