自転車二人乗り 「………」 「………」 ニコッ 「乗せろ」 「えぇぇぇ……」 幼なじみの潮江文次郎と、通学徒歩の俺、食満留三郎がバッタリ出会った。文次郎はゲッと嫌そうな顔をしたが、何だかんだ載せてくれるあたりが甘いと思う。 「この長い長い下り坂を〜♪」 「ゆ○!!?」 「…カントリ〜ロード♪」 「ジ○リ!!?」 いちいち突っ込みを入れてくる文次郎に訂正を入れる。 「残念だな文次郎、この曲を歌っているのはジブ○じゃねぇぞ」 すると文次郎はピクリと片眉を上げた。 「………じゃぁ何なんですかー」 …あれ? 「…………」 「…………」 「…………」 「………何だっけ?」 「わかんねぇんじゃねぇか!!」 うるせぇなぁ。 「あっ!!文次郎!!坂だ!!スピードもっと出せ!!」 「安全運転主義何だよ俺は!!」 「ケチ!!」 「うるせぇぇぇ!!」 今日も今日とて、名物化しつつある学生二人の帰り道を、近所のおじいちゃんはこう言った。 「いやぁ…青春だねぇ…」 自転車二人乗り 青春と恋の中間地点 [back]/[next] |