シュガーシガレット



この前、いつも行く駄菓子屋のばあちゃんが腰を痛めていたため、店番を手伝った。

気の良いばあちゃんは、それに感動したのか何なのか、大量に駄菓子をくれた。

その中の一つ。

それを取り出して口に加えると、隣で俺が貰った駄菓子の消化に付き合っている留三郎が目を剥いた。


「文次郎!?」
「んぁ?」
「ちょ…おまっ何食ってるんだよ!!」
「………あぁ?」

口に加えたのは白く細長い物体。ベタな展開で、不良なんかが食べていると、警官が間違える。
あぁ…なる程。


「何って、シガレット?」
「………」
「………」

目の前の留三郎の口が何か言いたげに数回動いたが、なんとか音にはならなかった。

『お前、未成年だろ!?』

と言いたかったらしい留三郎は、ベタな間違えに顔を赤らめ。声を荒げた。

「くそっ、紛らわしいんだよふけ顔!!」
「今時小学生でもしないベタな間違いしたヤツに言われたくねぇよ!!」
「大体お前に煙草とか様になりすぎなんだよ!!」
「そうか!!ありがとうよ!!」


……ん?

「……んん?」
「…何で俺誉められてんの?」
「……」

ボッとお互い爆発しそうな羞恥を感じながら、向き合う。

「…俺に煙草、似合うと思うか?」
「…」

無言のままコクコク頷く留三郎に俺は頬を掻いた。

「煙草…か」

正直、自分でも分かるほど真面目と言うか頑固な俺は、高校生活で煙草を吸う予定は無い。
って言うか、それは目の前のコイツも一緒な訳だが…。

何より、体に悪いものは口にしない信念だ。
酒は付き合いだから仕方なくなるかもしれないが。

けど、目の前のコイツが似合うって思ってくれているなら、煙草も悪くないかも…と思えてきたりするのだ。

だから、まぁ…。
俺は、目の前の留三郎に軽く口付けた。
みるみる赤くなる彼と照れくさい俺には、やっぱりまだまだ煙草は早い。



シュガーシガレット



この甘さに、まだ酔わせて

大人の苦くて甘いキスは

僕らにはまだ早い。


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