無重力世界への招待状



未来の僕らは

あれから数年後、俺達は今でも変わらずに隣にいる。

無事高校生活を終えて、大学に見事受かった俺達は、宇宙に関する専門的知識などを身に付けながら、お互いにそれらしい彼女も作ったりして、それでも隣にいた。ちなみに俺の場合、彼女と長続きすることがなく、何度もとっかえ引っ変えな感じだった為、女性から見ると、相当最低なヤツだったと思う…。

でも、俺から相手を振ったことはなく、大抵、その彼女たちから振られていた。
そうして、いつも言われているのがコレだ。

『潮江くん、他に好きな人いるんでしょ』

…えぇ、そーですよ、あの時、必死に嘘ついてまで隠した癖に、初恋にまだ終止符つけらんねぇかっこ悪いヤツだよ、俺は。
女と言うのはどうしてあんなに鋭いんだ。
いっそ、留三郎も彼女たちみたいに、鋭くいてくれたら良かったのにな…。
そんなことを思いながら、俺は、研究所の喫煙所で、自分の着ている白衣から、タバコとライターを取り出して、大空を見上げた。
そううして加えたタバコに火を点けて、息を吐き出すと、灰色の煙が視界を覆う。

そうして大学生活を終えて、厳しい採用試験をクリアして
留三郎が今いる場所は…。

あの宇宙だ。

留三郎は長年の夢である宇宙飛行士の夢を叶えて、俺は技術者として過ごしている。傍にいて支える。と言うことからは少々ズレてしまったが、俺達はそれでも『宇宙に関わる』と言う点で繋がっている。
宇宙に行けると決まったとき、留三郎はテレビに出たりと忙しく、連絡がなかなか付かなかったのだが、最後の最後でメールが来た。

『宇宙から戻って来たら…ちょっと付き合え』

それを見たときの俺の感想と言えば、

『は?』

だ。

『待て待て』

付き合うってどこにだよ!!そうしてメールしたにも関わらず、アイツは見事に俺からのメールをブチりやがった。そんな訳でもう半年も立つが、一興にメールは来ない。だが、俺は不思議と寂しいと言う気持ちは全くなく、アイツらしい。と笑っていた。
留三郎は、あれで変なとこ真面目だから、仕事中なのに、俺にメールするなんてことが出来ないんだろう。と分かっているからだ。

「不器用なヤツめ」

そう言う俺は、

「意気地なしってか」

そう言って、自分の諦めの悪さに、何だか可笑しくてなって笑った。

「しょーがねぇなぁ…」

いっそ、一生独身でいようか。
今のところ俺に、アイツ以上に恋を出来る存在がいないのもあるし、単純にもう俺が諦めきれないのだ。

「留」

だから早く、

「嫁でも何でも連れてこい」

そうして、お前が幸せになって、幸せな家庭を作るのであれば、俺はもう十分だ。
見上げた空の太陽の眩しさと、口に広がるタバコの苦さに、俺は目を細めた。


未来の僕らは
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