++ぶんしょく++のるー様に捧げる相互記念品

逃れられない愛の言葉

潮江文次郎は天然タラシだ。


いつもいつも、人に厳しく自分にも厳しく、の信念を持っているあの男は、いつも突然優しくて、謀ったかのように甘い言葉を囁く………。
俺はそれにドキドキさせられっぱなしで、振り回されっぱなしなのだ。


…そんな恋人に通路で突然出くわし、抱きつかれたらどうしようか…。


「ん〜…け…ま?」
「(落ち着け俺!!)どっ…どうしたんだ?潮江?」


ヤバい、コイツ、近々に迫る予算会議で、5日ぐらい寝てないんじゃなかったか…?


頭の中で危険信号が鳴り響く、完徹の潮江文次郎は、無自覚に磨きが掛かり、もはや恥ずかしさのカケラもない本物のタラシになる。

しかも本人は覚えてないから…俺や周りだけが恥ずかしい思いをするのだ。


「好き」
「おっおう!!」

俺は凄い、慣れを獲得した。
しかし、コイツはまたその上を行く発言をする。

俺は必死になって話をそらした。


「そっ…そう言えば会計委員会の仕事はどーしたんだよ?」
「んぁ…あぁ…頼むから寝てくれと、田村に頼まれてな……」


ふてくされた言い方をする文次郎は、どうやらまだ仕事をしていたかったらしいの…だ…が


「……何したんだ?」
「……俺はただ…お前の髪って毎日手入れしてあってキレイだよな…って言って頭を撫でただけなんだが?」
「……他には?」
「左門は良く迷子になるが、決断力があってカッコイイよな、お前のそう言うところ好きだぞって言ったが……」


あぁ…簡単に想像できる会計後輩の赤面顔、潮江のニコニコと楽しそうな顔……。
いろんな意味で可哀想だが、同情はしない。
文次郎は俺のであるから、文次郎がそう言う発言をするのは俺だけでいいのだ……でも


「もちろん、食満が一番大好きなんだが」
「そっそうですか//」

やっぱり恥ずかしいんだよ!!
クソ!!あぁ!!もうドキドキする!!つーか抱きしめないでくれ!!耳元で囁くな!!


「食満…」
「うっ…なっなに?」
「可愛いなぁ、もう!!」
「うっあ//////」


満面の笑みを浮かべて頭を撫でる文次郎、コイツの笑顔に俺は弱いが、今日に限ってサービスのようにニコニコしている。

体温の高い腕の中、低くてよく通る声で、これでもかと言うほどの甘い言葉。



「いつもいつも無理して、欲しいものも後輩にやったりして我慢して、泣き虫のクセして強がりで、全部全部愛しくて、可愛くて、抱き締めたくて、俺はお前に出会えたことが、一生のうち一番嬉しいんだ………」

「///////////やっ/////////へっ////あ?」




熱い、熱い、熱い、熱い
熱い、熱い、熱い、熱い



文次郎が耳元で囁くたびに、体中の熱がたぎっていく…頬から耳からなにもかも、アイツの声に翻弄されてしまう。


「意外に可愛いものに目がなくて、アヒルグッズを貰うと喜んではしゃぐ、こんな可愛いヤツっているかよ、本気でケンカ出来るヤツなんて……バカな話出来るヤツなんて……お前だけだよ、食満留三郎…お前だけなんだよ留三郎……俺が愛を語るのも、恋をするのも、お前しかいないんだ…」

「〜っ////////////あっ////////////うっ//////////////////」



限界だ、もう限界、限界//////////////////////////思考が完全に閉じる、聞こえてくるのは、甘い声、感じるのは暖かい体温…唇に感じる優しい熱……。






「……あれ……?」

ふと気づいたら、真っ赤になって、口をパクパクさせている食満が腕の中にいた。

え?何だこれ?どうなってるんだ………?


「おーい、食満?けーまー?留三郎くーん?…ダメだこりゃ……」


真っ赤になって動かない食満が無償に可愛く思えて、頬と額に口づける。

一瞬目を見開いたが、やっぱり動かない…ふと、体に眠気が走って、そう言えば暫く寝てないのを思い出した。


眠いし、腕には食満がいる……。

「よく分からんが…」

ヒョイッ食満を抱え上げた。


「一緒に寝るか?」


今日はちょうど部屋に仙蔵がいないし……。
背中に回った腕が、服を掴むのを確認して、頬が緩んだ。







ほらみろ

潮江文次郎は天然タラシで、完徹になると、本当のタラシになる。

アイツはそれを覚えてないし、恥ずかしい思いをするのはいつだって俺だ。

突然優しくて、謀ったのように甘い言葉を囁いて

俺はそれにドキドキさせっぱなしで、結局なにをどう足掻いても、振り回されてしまうのだ。


それは


逃れられない


愛の言葉






あとがき
++ぶんしょく++のるー様へ送る相互記念品。
タラシ文次郎と恥ずかしさの許容量越えちゃった食満の甘い話。
これで分かったのは、我が家の文次郎は意識無いときは完全なるタラシで、意識があるときは自覚してやればタラシになるし、自覚しなければ天然タラシだと言うことです。

(どっちにしろタラシには変わりないんだよね、結局)(^^;)

さて、るー様、こんなのになりましたがいかがでしょうか?文次郎のタラシ加減に力を入れまくりました。

とても楽しかったです(^-^)


それでは、こんな文になり大変申し訳ないのですが……今後ともよろしくお願いします!!


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