8000フリー小説

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役にたちたい!!

俺の名前は食満留三郎、職業は出版社に勤めるマネージャーです


「…………」

突然ですが


「どうしたんだ?」

俺の目の前にいる先生は、全く手が係りません


「いえ………」


不思議そうな顔をしながら、ケーキを切り分け、なおかつ紅茶まで用意してくれる先生は、アナタだけではないでしょうか?


「潮江先生」
「んっ?どうした?やっぱり不味いか?」
「いっいえ!!すっごく美味しいですが」


しかも手作りと言うケーキはプロ並みに美味い


「原稿は……?」
「あぁ、あそこに置いてある、感想と訂正よろしく」


しかも原稿はキッチリ片付けている

仕事も速い

我ながら、マネージャーとして数々の先生と死闘を共にしたが、潮江文次郎先生は、今までの中でも珍しいケースだ


むしろ俺が世話を焼かれているような……


他にも数名の先生を、俺は担当していて、そんな俺の愚痴を聞いてくれるのが、潮江先生だった


しかも残念な事に、俺は家事全般がダメダメなため、まったく役にたたないのだ



「なんかすいません」
「?」
「俺役にたってないですよね………?」


いつも愚痴を聞いてくれる優しい先生

一番サポートしたい人をサポート出来ないのが、俺は悔しかったりするのだ

しかし、潮江先生は、俺の頭に手を置いて、数回撫でてくれた


「食満マネージャー、アンタ、自分の仕事を忘れたか?俺の原稿チェックするのがアンタの仕事で、俺の家で日頃の愚痴言って、俺の作った菓子食って休むのも仕事」
「いや…それ違っ……」


言いかけて、潮江先生は優しく頭を撫でていたのをワシャワシャと俺の髪の毛をかき回し始めた。

「うわっ!!ちょっ」
「だーかーら、俺は役にたってるんだよ、マネージャーの愚痴面白いし、菓子いっぱい作れるし」

それは要するに


「潮江先生の暇つぶしと菓子処理に役立ってるんですね!!?」
「間違ってない」
「潮江先生は楽しんでくれてますか?」
「それはな」


俺は少しは役立っていたようだ、俺はそれはもう嬉しくて、ニコニコと潮江先生を見た


と…ふいに、潮江先生が吹き出した


「なっ、なんで笑うんですか…」
「だって、おまっ……ブッ……アハハ!!可愛いーな、マネージャー」
「可愛い!!?」
「ヒー、アハハハッ、うん、面白い、最高」


笑い泣きしだした潮江先生に訳が分からず混乱していたら


口を塞がれた


目の前にドアップの潮江先生


唇に触れる


熱と熱


「…………なっ!!!」

唇が離れて、俺の脳内は大混乱を起こした

えっ!!?今のキス!!?潮江先生とキス!?

いやその前に男同士で

でも嫌じゃなくて……ってはぁぁ!!?



潮江先生はクスクス笑うと

「茹で蛸」


と言って笑った


「はっ!!?へぇ!?」

意識すれば、俺の顔は多分真っ赤で、潮江先生から言わせれば、凄く赤いのだろう


ってかその前に


「何してくれんですか!!?」

これがファーストと言う訳ではないが、泣きたくなってくる俺は、潮江先生を睨みつけた。

しかし、当の本人はどこ吹く風で


「役にたってるよ」
「はぁ!!?」
「だって……」



¨好きなヤツが目の前で笑ってたら、元気になるから¨


「………は?」
「ん?だから…」
「結構ですっ!!」


今なんつった?好き?好きって何?


今度こそ俺は、自覚して顔を赤くする。


なんだそれ、卑怯だっ!!真面目な顔して恥ずかしい事を言わないでくれ!!


潮江先生は無自覚天然タラシかなんかかっ!!


顔を恐らく茹で蛸よりも赤くしている俺に、潮江先生は


「で、好きって言ってしまったので、マネージャーの返事を聞きたいんだが…」



苦笑いで首を傾げた


……無自覚で鈍感、しかし行動は結構飛んでる

仕事が早くて、ケーキが上手い、愚痴を聞いてくれる優しい先生…


アナタに言ったら、嫌われそうだったので、言えなかった事があるんです


ねぇ先生…知ってましたか?


俺は、ずーっと前から


「アナタが好きです」










あとがき
小説家文次郎とマネージャー食満の恋愛模様です。ちなみに食満は文次郎より年下設定です。

甘えさせてくれる年上文次郎を目指しました

同い年だと意地を張り合う2人ですが、どっちかが年下だと、頼れる年上、素直じゃないけどその年上だけには甘える年下、の構図が出来ると思います。

食満は伊作とか小平太とかも担当しています(疲れる2人だ(笑))潮江先生のお菓子と紅茶大好きで、2人でいるときが一番至福の時を感じています。ちなみに潮江先生の作品も面白くて大好きで、密かにコレクション化してたり…しかも潮江先生の作品だけ大事にしてるんです←乙女だ!!


それでは、8000hitありがとうございました!!


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