7000フリー小説

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あけましておめでとう、来年もよろしく

「おっ…」

「あっ……」



冬休みだと言うのに、何故か市場で食満と出会った


「お前何してんの?」

「お前こそ」


2人の間で沈黙がおこり、文次郎はため息をついた


「ここは家の近所だバカタレ、普通に買い物だ」

「へ〜…俺は住み込みアルバイト」

「?何でだよ、お前の家ココからかなり遠くて反対側だったのハズだし、お前の家の地域で戦が起こったなんて話は…」

「や…だって」

「……?」

「なっ///なんでもないっ!!」



急に赤くなった食満を見て首を傾げる。立ち話も難なので、文次郎は近くの茶屋に食満を連れて、顔見知りなのか、店の主人と穏やかに会話する


「ほぉ〜、ジロのお友達かい?」
「あっ…はい」


店の主人はお茶を食満に渡しながら、にこやかに話しかけた
しかし、疑問が一つ


「………ジロ?」
「おやおや知らないのかい?ここの漁頭、ジロの父さんはここらじゃ有名な漁師殿でね?長男は昔からダンナ、潮江の次男坊のジロは、昔からこう呼ばれてるんだよ」
「おいっ!!おっちゃん!!」


楽しそうに話し出す茶屋の主人に、文次郎は怒鳴った。あまり食満には聞かれたく無い話である


しかし、食満は穏やかに主人の話を聞いていた



「ジロ……ね」



どうやら文次郎は、かなりの人気者らしく、行き交う人々は、「よっ!!ジロ」「ジロの旦那!!正月の大松買っていってくんねー?」「ジロちゃーん!!」「ジロ兄ちゃん!!」と声をかけてくる


それらに一言一言返しながら、文次郎は茶をゆっくり啜った


また食満は、嬉しそうに笑っている


外は雪、白銀の世界が広がっても、市場は穏やかで楽しい、隣に食満がいるのは、文次郎にとって、もっと嬉しい


食満の頭を数回撫でると、食満は顔を赤らめてポツリポツリと喋りだした



「実は、アルバイトなんて嘘なんだ////」
「へ〜ウソ……ってはぁ!!?」


驚いた声を出す文次郎に、食満はだからと付け加える


「冬休み、は、普通に家族と過ごす予定だったんだが/////何故だか知らんが///////こっ今回は、おっお前と過ごしてぇなぁ〜って///////思った//////ん////だ///」


どんどん顔を赤らめて、語尾が小さくなる食満を、文次郎は見つめていた


「(かっ/////カワっ/////////)」


要するにあれか、食満が言いたいのは


「家に泊まりたいのか?」
「〜///////めっ/////迷惑//////か///?」


しどろもどろで、首を傾げる食満の頭を、文次郎は撫で回した


「迷惑な訳あるか//////ったく、お前可愛い過ぎんだよ/////」



文次郎は、茶屋の主人に代金を払って、食満に手を差し伸べた


「ほら、決まりだ、さっさと家行くぞ」
「おっおう///!!」


文次郎の手を取った食満は、そのまま文次郎に引かれて、手を繋いだまま歩き出す




伝わる熱



雪が手に当たれば、ちょうど良い温度




去年は言えなかった言葉を、今年は……




今年は君に言えるのだろう




「あけましておめでとう、今年もよろしく」








あとがき
食満の押しかけです(笑)
食満は家族と正月過ごすより文次郎と過ごす正月を選んだようです
良かったね、文次郎

ジロ呼ばわりは私の趣味です、親しくなったら文次郎やモンジよりジロちゃんって呼びたい←願望

それではくだ猫から、新年と7000hitを記念して、今年も良い年でありますように!


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