6000フリー小説

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特別

カシャカシャと生クリームを混ぜる音がして、食満+用具委員の4人はキラキラした瞳で文次郎を見つめていた


「……あのな?」
「なんだ?」
「「「「なんですか?」」」」


文次郎はため息をついて生クリームを泡立てるのをやめた


「これは会計委員会に作ってるんだぞ?わかるな?」
「わかってるよ」
「「「「わかってます」」」」


即答で頷かれて、文次郎はあぁそう…と言いながら、またケーキを作り始めた

クリスマスの今日、外見によらず料理が趣味な文次郎が、いつもこき使ってしまっている委員会の後輩の為に、ケーキを作り始めたのは、つい数時間前……


匂いにつられてやってきたしんべヱにつられて、用具委員会が総動員したのも数時間前……


文次郎は先程から何回も、これは会計にやる物だと言っているのだが、キラキラした瞳は明らかに「食べたい」を物語っていて、文次郎は頭を抱えたくなった


だが、その中で一人だけ、キラキラから一瞬ハッ!!となっては頭をブンブンと振って、またキラキラしだす三年生が一人いて、文次郎は意地っ張りな彼の行動が、なんだか微笑ましく思えてしまった。
だから、つまみ食い位はさせてやろうと、ケーキの切れ端に生クリームをつけて、作兵衛に口を開くように要求する。


「……富松」
「はっはい!!?」
「あ〜ん」
「あ〜ん?……」


文次郎は作兵衛の口にケーキの切れ端を放り込んだ


「むっ!!?」
「「「あ〜ずるい〜!!」」」
「………」


作兵衛は驚きながらケーキを咀嚼して、一年生三人は声を揃えて羨ましがり、食満はムッとした。

「旨いか?」
「はいっ!?/////」
「……旨いか?」
「あっ、はい美味しいっす!!」


文次郎の問い掛けに作兵衛は赤面しながらコクコクと頷いた

文次郎はその後ケーキの切れ端を一人一人にやりながら、だが食満はあげることはなかった。


「よっし、全員食ったな」
「まだ食満先輩が食べてないですよ〜?」


喜三太の言葉に、文次郎はいたずらっ子の笑みを浮かべた


「あぁ、そういやそうだった!!でももう無いしなぁ〜……」
「「「え〜!!!」」」


一年生三人は声を揃えると、食満の方を向いた


「食満先輩……僕珍しいお菓子持ってきます!!」
「僕も手伝う〜」
「僕も〜!!」


食満を気づかった三人は、バタバタと廊下に出て行く、文次郎は作兵衛の背中を軽く押して、食満には見えない所で、片手をあげた……『頼む、暫く出て行ってくれ』読み取った作兵衛は、状況を察して出て行った


四人が出て行った後、食満は文次郎を見て、半泣きをしていた


「食満…?」
「うっさい……」

文次郎は食満の頭を撫でた。顔は今にも笑い出しそうだ


「誰がお前の用意してないなんて言った?」
「はぁ…?」


食満の目の前に出されたのは、小さめのケーキだった

「……はっ?へっうぇ?」
「お前のために用意したのにアイツらに食われたら意味無いからな」
「/////////」


文次郎は食満の目尻の涙を拭ってやる

「ちょっと虐めたくなっただけなのに、可愛い反応するから」
「/////////アホ////」

クスクスと笑う文次郎に、食満は赤い顔のまま悪態をつく


文次郎はその可愛い恋人を抱き寄せて、耳元でポツリと呟く


「お前は俺の特別なんだから、安心して構えてろ……メリークリスマス留三郎」



触れるだけの優しいキスは、食満をさらに真っ赤にさせるには十分だった。







あとがき
クリスマスにアップさせる予定だったのに、1日過ぎになってしまいました………。
一応現パロです
文次郎は食満にはとてつもなく甘いと私は思います、ただちょっと意地悪もしたくなる(笑)

遅れながら、クリスマスと6000hitを記念して!!メリークリスマス!!


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