5000フリー小説 5000フリー小説 ――――――――――――――― 星に願いを 自転車を漕いで、約10分 「食満ぁ!?」 キッと自転車を止めて、呼ばれた方を振り返ると、隣のクラスでライバルの潮江文次郎がいた 近所の公園にある高台は、星が良く見えることで有名だった 今日は流星群が来るとニュースでやっていたので、俺、食満留三郎は見るだけだが、一応天体観測と称して出かけたのだ。 高台が有名と言っても、今は真冬、このクソ寒い中外を出るバカなどいないと思って、高台に行ったのだが……バカがいた 「何でお前いるんだよ……」 雲一つない暗闇の中で、星だけはただキレイに光っていた 高台に座って、俺は文句を垂れた 「流星群が見たかったんだ、星を見るのは好きだしな」 望遠鏡片手に、潮江は俺の文句を軽く流し、星とレンズの位置を合わせながら、上機嫌にそう言った ただ見るだけの俺と違い、潮江は完璧に天体観測をしに来たらしい 「ふーん……」 視力メチャクチャ良いクセに…… 楽しそうにしている潮江の後ろ姿を、ぼーっと眺めていたら 「食満」 「あぁ?」 潮江が俺を呼んだので、俺は潮江の近くに寄る 「食満、覗いてみ」 「……は?」 間抜けな声を出した俺に、潮江が有無を言わさない感じで見てきたので、渋々覗く と 「おぉ!!」 目に飛び込んで来たのは、いつも見る星よりもはっきりと移っている。 一面に、美しい星 「キレイだろ?」 ニッと笑う潮江に全力で頷いて、俺は星を堪能した。 「なぁ食満」 「ん」 「知ってるか?星ってのは地球から見たら、とてもキレイだろ?でもな、宇宙空間にとっては、星ってのはゴミ……あぁ……つまり、簡単に言うと、ティシュ使って丸めてまんまにして、ティシュがバラけてる光景あるだろ?あれと同じ」 「マジで!!?」 知らなかった、俺、理科は数学の次に嫌い科目だから 「隕石の破片…でも正解だったか……」 「へー……」 宇宙のゴミか……ここからはこんなにキレイに見えるのに 「でも、地球ではキレイに見える……昔の人は、星に色々な願いをかけた、神話だったり…いろいろな」 そこで間が空いて、潮江はケータイの時計を確認した 一面の星をバックに、笑う潮江 「そして俺も」 言葉を繋いで、俺を見る 「そんな星に」 キラリと星が光った 風がフワリと吹いた 「願いを持っている」 キラリキラリと星が落ちてくる…流星群だ!! 「わぁ!!!」 自分が予想していたよりも、ずっとずっと美しい 「楽しいだろ?天体観測」 「……お…おぉ////」 潮江が笑った さっきの潮江がとても格好良かった 顔に集中する熱を、冬の寒さでごまかした 流れ溢れる流星群 雲一つ無い闇夜に光る 「食満」 「ん?」 唇に感じる熱 「俺の願いの一つって事で」 耳元で囁くその言葉 『お前が好きだ』 「〜っ//////////」 願わくば 隣にいる君と いつまでも、いつまでも 一緒にいられますように あとがき 「天体観測」を聴いていたら書きたくなりました。文食満で天体観測!! 星は宇宙空間のゴミ…と言うのは、私が小耳に挟んだだけなので、本当かどうかはよく分かりません 文次郎がかなりのロマンチストになったけど気にしない方向で!! フリー小説なので、お持ち帰りは自由です それでは皆さん、くだ猫は記念すべき5000hitを迎えました、本当にありがとうございます!! [back]/[next] |