新たな拾いもの




料理屋・銀(しろがね)
そこにまた、新たな嵐が舞い込もうとしていた。

「………」
「………」

俺は怪訝な顔をした二人に苦笑するしかなかった。

「文次郎〜?」
「ははは……」
「犬や猫じゃねぇんだから…」
「「道端に倒れてる人間を何でもかんでも拾ってくるんじゃありません!!」」

留三郎と与四郎に怒られ、俺は頭をガリガリと掻いて、後ろの二人を振り返る。

「…っても……なぁ?」
「ですよ、潮江さんは僕達二人を助けてくれただけなんですから」
「あまり攻めないで下さい…」

俺の服の裾を握り締めた二人の頭を撫でてやる。

あ、なんかデジャビュ…

留三郎を拾ったあの日から、丁度一年が計画した春。

俺は新たなに広いものをしてしまった。

……だってほっとけねぇんだよ…。



桜並木のある公園を、料理に使う材料を買って上機嫌で歩いている夜。

「………」

道端で倒れていり二人組を発見して、俺は素通りを決め込んだ…つもりだった。

「……っ」

つもりだったのだ。今の季節は春だ。花見客が酔っ払って寝ころんでいるってことも充分にありえた。

でも、俺には、二人はどこか、傷ついているように見えて…。

「…おい、大丈夫か?」

思わず声をかけていた。



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