コイツは絶対渡さない




そんな与四郎を見ながら、伊作は、与四郎をビックリした顔で見る。従兄弟。と留三郎が付け足すと、伊作はあぁ!!と納得した顔をした。

「はじめまして、善法寺伊作です。まさか留さんに従兄弟がいたなんて知らなかったなぁ」

と、穏やかに笑って手を差し出した。与四郎は嫌そうな顔をしたが、文次郎にコラッと小突かれてイヤイヤ手を握り替えした。

「ここに来たのには理由があります」

伊作は笑いながら、与四郎の手を握り返し、あっさり離して、留三郎に抱きついた。文次郎の頭に再び青筋が浮かぶ。触るな。ソイツは…俺と与四郎の…っ

「私、留さんが私のせいで会社を辞めていったのが悔しくて、頑張って……出世したんです。留さんを、取り返しに来ました」
「「「……は?」」」


伊作の挑戦的な顔を見て、その発言に三人が固まる。

「「「はぁぁぁ!!?」」」

叫んで、与四郎が伊作に抱きしめられている留三郎を引き剥がす。

「ふざけんな!!留はウチの大事な従業員だ!!お前のせいで仕事を辞めなきゃいけなかったのに!!お前何様だ!!!」

与四郎がキレた。文次郎はやけに冷静に働く思考で顔には出さないが驚く、与四郎が標準語を使うのは、大体キレたときである。文次郎だって怒っていた。静かに、青い炎が胸の中でフツフツと湧き上がる。

文次郎・「悪いですが、お帰りください。留と何があったかは知りませんが、留はもう、ウチの…いや、俺たちのものだ」

低い声で脅しをかける。今更のこのこやって来て、コイツを守れもしなかった。アンタが会社に残ってるんだったら、責任持って、留三郎をアンタの家にでも住まわせれば良かった。そんなことも出来なかったヤツに、゛留三郎は渡さない゛


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