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結局三人で





与四郎の家は、昔からお世辞にも裕福とは言い難い家だった。
ただ、母は明るく、父は優しく、与四郎は自分の家に不満を持ったことがない。

昔から、与四郎には文次郎がいた。家が貧乏だと罵るアホなヤツらを、文次郎は追い払って、いつだって隣にいてくれた。抱きしめて、手を握って、大丈夫だと笑ってくれた。

そんな与四郎がいつも楽しみだったのは、貧乏ながら、両親が毎年の夏に従兄弟の家に連れてきてくれることだった。
元気で優しい留三郎は、与四郎とすぐに打ち解けた。

それでも、心の片隅にはいつも文次郎がいて、早く帰って文次郎に会いたいと望む気持ちもあった。

『でな、そこの従兄弟の子が優しくて!!』
『へぇ、どんな名前なんだ?』
『え……秘密?』
『何でだよ!!』

与四郎は、自分と文次郎のいる空間に、留三郎の存在を近付けることをしたくなかった。なんてことない。どちらに対してかはわからないが、独占欲、留三郎に同じことを聞かれても、与四郎は文次郎の名前を出さなかった。

与四郎・「だって、どっちも好きだけど」

与四郎は、二人を独占していたかった。だが、二人がお互いを求めるのは嫌なのだ。

そんな話を飯どき、しかも晩御飯に言うものだから、文次郎と留三郎が呆けた顔をした。

文次郎・「ワガママだなぁお前」
留三郎・「なぁ」

ある意味関心した。と言わんばかりの二人に、与四郎が俯く
しかし、文次郎が頭を撫でるのだ。

文次郎・「しかし与四郎くんの思惑はまんまと外れたと」
与四郎・「う゛」
文次郎・「心配すんなよ、可愛いヤツだなお前、第一の思惑は失敗したが…」
留三郎・「今度は三人で雁字搦めになっちまったしな?」
文次郎・「…だってよ?流石に俺もこれ以上増えたりすんのは嫌だぞ?与四郎もそう思うよな?」

ん?と聞いてくる文次郎に与四郎はため息…何なんだよ、さっきお前から自立しようと考えてた俺は

与四郎・「思う」

与四郎はヘラリと嬉しそうな、苦笑いのような複雑な笑い方をした


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