18 人には意外な特技があります そもそも、それは最初から一目惚れだった。 リストラされて、道でぶっ倒れていた俺に、優しくしてくれた人、優しい顔で笑う人、だから、この人のそばにずっといたいなんて思って 留三郎・「わかんねぇ」 作り置きのスープを一口、味覚が一般人よりかなりあやふやな自分は、やっぱり特訓しないよりマシと、味覚を高める特訓みたいなものをしている。例えば朝ご飯のスープの味付けを言ったり 留三郎・「塩は、わかるんだけど…」 文次郎・「ん〜まぁ焦るな、独立出来なかったら永久雇用にしてやるよ」 そうやって微笑む自分の師匠に、留三郎はそのままでいいかも…と思いかけたが、首をブンブンと振る。なんにせよこのままじゃいかん!! 留三郎の行動に、文次郎は?マークを浮かべながら、頑張れよ、と穏やかに言った。 しかし、料理人になれなくても、料理関連の道に、留三郎を進ませることは出来るかもしれないと感じていた。 文次郎・「じゃぁ、味覚の特訓は終了、今日はフルーツカットをやってもらう」 留三郎・「やった」 留三郎が思わずガッツポーズになる。 留三郎が味覚オンチなのは分かってもらえただろう?だが、前に、文次郎はこうも言わなかっただろうか?大根の桂向きはスルスルやっていた。と、そう、留三郎は全く無自覚だが、飾り切りやフルーツカットの天才だった。 文次郎・「あもりものの野菜で、鳳凰作ってたときはヤベェこいつってなったよな」 与四郎・「留は味覚以外は器用だから」 飾り切りを楽しそうにやる留三郎を見ながら、二人は、ますます留三郎を手放せなくなったと笑った。 NEXT [back]/[next] |