言えないけれど愛してる(凄与四)
2010/12/21 17:52



「与四郎、好きだぞ」
「……」

そうやって柔らかく抱きしめられるが、別に俺は凄さんと付き合っている訳ではない。

凄さんと俺の関係は上手く良い表せない所が多い。

凄さんは大人で、俺はガキだ。
何を持ってこのオッサンが俺のことを好きなのかイマイチ理解不能である。

「……オラのどこが良いんだぁよ……」

まだまだ未成年で、いくら思いあっていようとも体を繋げることも出来ない。
しかも自分で言うのもあれだが、素直じゃないし可愛気がまったく無い。口をついて出る言葉は文句や凄さんに対する拒絶ばかり……。

凄さんは、照れくさそうに俺に好きだと言う。はにかんで、幸せそうに愛を語る。

「………」

正直、自分が彼に愛される自信が持てないのだ。

俺で良いのか、女じゃないぞ、胸も無いし、男だから筋肉ついてるし柔らかくもない。

それに

凄さんは卑怯だ。

年齢差があるから絶対俺を先に置いて死ぬだろう。

その時に俺が後戻り出来ないほど、あなたに心酔してしまっていたら、それは恐怖だ。怖い。

それも含め、俺は今日も、彼に返事が出来ないでいる。


「そうやって自分に自信が無くて、無くなることが怖いって思ってる所?」
「……え?」
「お前の好きなとこ」

びっくりした。

「安心しろー、俺はお前が死ぬまで生きるつもり満々だからなー、後、お前が成人したら存分に抱くつもりだから覚悟しやがれ」

凄さんには…。

「後その今にも泣きそうな顔すんの止めろ。畜生可愛いな、本当にお前は…女よりも、お前が良いよ、自信持て、俺が、お前が死ぬまで愛してやる」

何でもお見通しか。

触れ合った唇の熱さに、俺の瞳からはポロポロと涙が溢れた。

「…ふっ……凄い殺し文句だぁな…」
「惚れたか?」

そうやってカラリと笑ってみせたであろう彼の顔は涙で歪んで良く見えない。

あのさ、凄さん


言えないけれど愛してる


「まだ愛が足りんから、凄さんがもっと頑張れば惚れてやる」
「ハハ、了解」


end



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年上の彼に対して不安たっぷりな与四郎が書きたかった。
……コイツらここまでやっといて付き合ってないんですよ…。
書いた私もビックリですが、まぁ取りあえず、凄さんにキスを任せてる時点で与四郎の答えは決まってる訳なんですけどねー…言わないけど。



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