年下ダーリン(文食満)
2010/12/21 14:12

※文次郎が一年生設定



むにむに、ぷにぷに…。

「かーわいーなー!!」
「うるさいっすよ!!」

俺の名前は、潮江文次郎、十歳、忍術学園一年い組…会計委員会所属である。

で、さっきから俺の頬をむにむにと摘んでいるのは、食満留三郎先輩、用具委員長の六年生。委員会も違うし関わり合いもほぼ無いのに、留先輩…って言えって言われたから呼んでる。は、俺に良く構ってくる。

「文次郎かーわいー」
「だー!!!」

そうやって抱きつかれ、また頬をむにむにと触られる。
どうやら留先輩は、俺の頬がかなりお気に入りらしい。いつも触られ、留先輩の笑顔に照れる俺に、留先輩が可愛いと連呼するのはいつもの事だ。

しかし正直に言おう。ちょっと…鬱陶しい…。

俺は留先輩が…大好きだけど、それでも可愛いと連呼されるのは好きじゃない。
俺だって男なのだから…。

「伊作先輩!!助けて!!」

そんな俺達に救世主現る。留先輩に困っている俺をいつも助けてくれる伊作先輩が苦笑しながら現れた。

「あー潮江君、ってまたかい?留さん!!後輩困らせちゃダメだろ!!」
「あっ!!」

伊作先輩はそう言うと、留先輩に抱きつかれて困っている俺をヒョイッと抱き上げた。あーやっぱり伊作先輩が一番好きかもしれません。ちょっと薬品臭くて不運でも、俺は伊作先輩の味方ですからね!!伊作先輩にギュッとしがみつく。

「ありがとうございます…」
「いやいや、ごめんね?」

申し訳なさそうな伊作先輩に俺も思わず苦笑すると、留先輩が俺達をジトーッと睨みつけていた。どことなく泣きそうなのは気のせいか…?

「ずるい…」
「「は?」」
「伊作ばっかり文次郎に好かれてずるい!!」
「「………」」

唇を尖らせて拗ねる留先輩には、六年生の威厳は全く無かった。そんな留先輩を見て、俺と伊作先輩が思ったことは一つだ。

お前は子供か!!!

びっくりだよ、大体何で自分の腕から伊作先輩の腕に俺が移動しただけどそういう話になって、しかも拗ねるんだアンタは、本当に俺より五歳も年上なのか!?

「「はぁ〜〜」」

俺と伊作先輩は二人でため息。って言うか、俺は伊作先輩ばかり好きな訳じゃないし、むしろ、特別に好きと言ったら…。

「伊作先輩、下ろして貰って良いですか?」
「ん…毎度毎度、本当にこんな先輩でごめん…」
「いえいえ」

伊作先輩の腕から下りた俺は、留先輩の前に立つ。留先輩はしゃがんでいるから目線が近い。

「留先輩」
「………」
「何を勘違いしてんのか知りませんが、俺が一番好きなのは留先輩ですよ」
「…文次郎!!」

パァァァと花が咲いたような笑顔になった留先輩だったが、俺はまだ言い足りないことがある。

「ただしちょっと鬱陶しいですが」
「ぶっ!!」
「酷い!!」


伊作先輩が吹き出し、とたんに留先輩が泣きそうな顔をした。

「俺だって男ですから、あんまり可愛い可愛い言われるのは気にくわないんですよ」

って言うか。

「可愛いって言うんなら、留先輩のが表情クルクル変わって可愛いと思います」
「……へ?」

そこで俺は、目線の近い留先輩の頬に軽く口づけて、抱き締めた。

「……っ!!」

途端に真っ赤になった先輩にニッと笑って満足。うんうん。

「ほら、やっぱり先輩の方が可愛いです」
「なっ…!!」

俺の小さい体には収まらない大きな体が俺にへなへなと寄りかかったのを感じて、俺は嬉しくなった。

「やっぱり抱きしめられるより抱きしめたいんですよね。俺は」
「…〜〜っ」

暫く先輩の体温を感じていたかったが、次に授業があることを思い出し、先輩から体を離した。

「んじゃ俺は次授業なんで」

後、一つ。

「いつまでも子供だと思ってバカにしないでくださいね!!」

あっ後。

「留先輩!!」
「……?」


「大好きですから!!」

それだけ言って、俺は授業に向かって走り出した。



「いっ…い…伊作…っ!!」

目の前で狼狽える同室の住人に苦笑い。そして去っていった可愛い後輩にも…。

「わー、留さん。凄いねーあれ多分天然だよ」
「わっ分かってるよ!!何あの子!!何なの!!」

あーうん。流石にあれにはビックリしたー。聞いてるこっちも恥ずかしかったよ。
顔を真っ赤にして床をバンバン叩く留さんに、まぁまぁと声をかける。

「良かったじゃない嫌われてなくてさー、しかも留さんの不毛な片思いかと思いきや結構脈有りだよー、良かったね」
「うっ」

五つも年下の男に恋をしたと聞かされたときは、コイツは大丈夫かと思ったが、意外に大丈夫そうだ。ただ。

「この調子じゃぁ潮江君が留さんの旦那になる日も遠くないかもねー、さっきの格好良かったしねー」
「……うぅ」

まさかの年下の旦那か、とか、さっきのあれをあの年で天然でやれちゃう潮江君を思い。

近い将来、文次郎に振り回される留三郎が容易に想像出来、伊作はハハッと乾いた笑いを零した。


年下ダーリン
年下の彼は将来有望の男前、振り回されてるのも今のうち…?

end


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年下文次郎は先輩もびっくりな男前だったら良いなーと日頃から思ってます。そんな文次郎に惚れちゃった年上の先輩は暫く同室の彼に凄く冷めた目で見られましたww
可愛いのもムギュッと抱きしめられるのも今のうち、大きくなったら振り回されるのは先輩の方だと思われます。年下だし、昔から留三郎に甘やかされてきたからかなりの甘え上手な厄介な青年に成長してることを希望ww



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