愛か祝福か(キレプー)
2010/12/13 12:41

※擬人化


彼に出会えたことが奇跡なら、その奇跡を僕は…俺は、心の底から感謝しよう。

神様神様、ありがとう。

彼が側にいることで俺がどれだけ救われたか、

最初は、牢獄なんて嫌だった。それに、俺の一緒に住む相手は、牢獄内でも凄い極悪人だって言われてたから、凄く凄く恐かった。

でも、数週間も立てば、彼の人となりは良く分かってきた。

彼は基本的には、静かで寡黙だ。怒らせなければ、あまり害は無い。でも、共同生活をするにあたって、俺にもプライベートや趣味がある。

牢獄入り、1ヶ月目に彼に頼んだことは、一日に二時間ほどコサックをする時間が欲しい。うるさくなってごめん。

と告げた。すると、彼は

『妥協は必要か……』

とそれだけ言って、諦めたように頷いた。

それからだったような気もするが、俺は彼とは基本的に上手くやっていけた。
彼は恐ろしく強かったので、もはやこれは牢獄させている意味が無いのでは、と思いかけたその数日後、どうやら欲しい靴を見つけたらしく。

出所1日を控えた俺に、何てことない顔で

『……靴買いに行くぞ』

と言われたときは、怒りよりも呆然としてしまい。そのまま彼の盗んだ車に乗り込んでしまった。

しかしその後、笑えてしまった。あまりに可笑しくて、可笑しくて、同時に、俺の人生は彼に任せてしまおうと思った。
彼が俺が必要だと思うなら、いくらでも使えば良いのだ。
それで良い。俺はそれで、自らがどんな終わりを迎えても、後悔しない。自信が出来てしまった。


道中、いつだって強いと思っていた彼が死にかけた時、俺の心臓は凍死するのでは無いかと思うほど固まった。
焦って、焦って焦って、彼でもやはり完璧で無いことに気付いた。

俺は、彼に出会ってから、初めてみっともなく、子供のように泣いた。

それでもやはり恐るべき回復力を発揮した彼は、治ってそうそう俺の顔を見て、軽いチョップを食らわしてきた。

かなり、かなり手加減してくれたのは分かるけど、それでも人並みに痛かった。何故か怒っている彼は。

『お前…この俺が、んな簡単にくたばる訳がねぇだろうが!!』

一喝。そうやって怒鳴るくせに、チョップの後には優しく頭を撫でられて、涙腺が緩んだ。


彼が、彼がいることで

俺は、初めて友のような兄弟のような、恋人のような、大きく言えば家族のような

絶対無二と呼べる存在が、この世にはあるのだと言うことを知った。


今日も俺と彼は旅を続ける。

「見てくださいよキレネンコさん。綺麗なクリスマスツリーですよ!!」
「………あぁ」


神様、来年も、彼と奇跡を分かちあえますように。


「綺麗だな」
「……?」

腕をグイッと惹かれて、額にキスされれば、これは…。

「なっ!!」
「さて、愛か、それとも祝福か」
「どう言う意味…」

目線を合わせれば、彼は優しく微笑んだ。

「お前は、どっちが欲しい?」
「………それは…」
「お前は俺の為に祈り過ぎだ。たまには与えられてろよ」

彼は両手を広げる。

「もう一度聞く」

それは、それは…。

「なぁ、プーチン」

名前で呼ばないで。

「どっちが欲しい?」
「……〜っ」

そんなの分かってるんじゃ無いのか、あぁもうこの人は、本当にズルい。

俺が欲しいのは…。


「愛が…愛を、下さい」


両手を伸ばして彼に抱き付けば、彼は嬉しそうに笑って、俺に一つキスをした。


愛か祝福か

神に祝福と感謝を

愛しい人には愛を


end



〜〜〜〜〜
キレプーの良い所は嫁が尽くす嫁なとこだと私は思う訳です。
畜生キレ様は何て幸せ者なんだ。と言う思いが爆発しました。
旦那も抜け目が無いから甘やかす時はしっかり甘やかすんですよねー。はいはい夫婦。

プーチンの一人称を俺にするか僕にするか迷い中…。



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