キセキの世代なんて俺からしたら化け物みたいなもんで、そのキセキの世代のナンバーワンシューター緑間真太郎が今年から俺と一緒の高校だと知ったときは本当に驚いた。まぁ、本人を見たときの驚きのが断然大きいけど。やれラッキーアイテムだやれ星占いだ、その奇行の数々には呆気にとられるばかりだ。天才ってやっぱ変人が多いのかねぇ。

「あ、宮地さーん!はようございまーす」
「おー」
「はやいっすねー」
「まあな。お前も早いじゃん」
「なんか目覚めちゃって」

宮地さんと他愛もない会話を交わしながら朝練のために体育館へと向かう。この人を含め、大抵の部員は緑間のことを好く思っていない。てか好かれるような奴とも到底思えないけど。

体育館に着くと、入口に大坪さんが立っていた。あんなところで何やってんだろ。不思議に思いながらも近付いていくと、体育館の中からボールをドリブルする音が聞こえてきた。中を覗き込めば広い体育館で一人ぽつんと、緑間がひたすらゴールに向かってボールを投げていた。構えては撃ち構えては撃ちの繰り返し。辺りにはいくつもボールが転がっている。俺今日は結構早く来たつもりだったのに。こいつは一体毎朝何時に来てんだよ。

「まじで刺してー」

隣の宮地さんと大坪さんを見れば、二人とも似たような顔して笑ってた。

「…不器用だねぇ」

ああ、ほんとになんて世渡り下手な奴。でもそんな馬鹿な奴を悔しいことにかっこいいと思ってしまうわけだから可笑しい話。こりゃ負けてらんねぇな。

「真ちゃーん!はよーす!」
「なんなのだよその呼び方は。やめろ」


(120831)
秀徳愛してる

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