――――プルルルッ!

『ハッピバースデーツーユー』
「いや、死ねよ。てかツーユーてなに」
『ハッピバースデーディアYUKIMURAー』
「なんでYUKIMURAだけ発音いいの」
『ハッピバースデーツーユーひゅーぱちぱちー!』
「聞けよ」
『おめっとさん』
「もうお前早く禿げろ」

結局仁王は俺の言葉なんて一言も聞かずに勝手に切りやがった。あいつは生え際からどんどん禿げていけばいいと思う。明日どう仕返ししてやろうかと考えながら再び掛け布団をかぶったそのとき。

――――プルルルッ!

「……もしも、」
『ああああ!仁王に負けたちくしょー!』
「………」
『ハッピバースデーツーユーハッピバースデーディアYUKIMURAKUNーハッピバースデーツユーひゅーぱちぱちー!』
「やっぱりツーユーなんだね」
『幸村くんおめでと!』

またもや勝手に切れた。あいつは10円禿げから徐々に禿げが広がっていけばいいと思う。携帯の明るい画面に目がチカチカする。ああ、なんかむかつく。

――――プルルルッ!

「………」
『精市、誕生日おめでとう』

――――プルルルッ!

「………」
『夜中に電話するのは迷惑かと思ったんだが…、ブン太たちがさ、』
「………」
『まぁ、あれだ。幸村誕生日おめでとう!』

――――プルルルッ!

「………」
『む、幸村か。ゴホン、あのだな…』
「………」
『誕生日おめでとう』

――――プルルルッ!

「………」
『ハッピバースデーツーユー!ハッピバースデーディアゆきむらぶちょー!ハッピバースデーツーユー!』
「………」
『おめでとうございます!』

通話終了の空しい機械音だけが俺の鼓膜を刺激する。なんでみんな揃いも揃って俺の言葉をまったくと言うほど聞かないんだ。嬉しいなんて絶対に思ってやらない。


(120305)
Happy Birthday!!
≫Seichi.Y(0305)

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