「バスケって、かっこいいよね」

突然幸村くんがぽつりと零した。みんなの視線が一気に幸村くんに集まるが、幸村くんはそんなことまったく気にしていないようで、バスケ入門の本を真剣に見つめている。そしてその本をパタンと閉じると、清々しいくらいの綺麗な笑みを浮かべて彼は言った。

「俺さ、立海のバスケ部になら勝てる気がするんだ」

ピキ、と音を立てて部室の空気が凍った。そう、みんな悟ったのだ。彼は本気だと。幸村くんは基本何をするに対しても本気なのが良いところでもあるのだが。しかし立海のバスケ部が弱いはずがなく、全国レベルは確実だ。でもそんな彼らを打ち負かしている幸村くんの姿が容易に想像できるた俺は、幸村くんの凄さを改めて思い知った。そして幸村くんは徐に立ち上がると部室のドアノブに手を掛ける。そのとき勇者真田が焦った表情で「は、早まるな幸村!」とその背中に言った。何をだよ。何を早まるんだよ。幸村くんはその声にゆっくりと振り返った。

「俺を誰だと思ってるの?」

彼に笑顔でそんなこと言われてしまえばもう止められる奴なんてこの立海には存在しない。背中に嫌な汗が伝ったのはきっと俺だけではないだろう。そして幸村くんは燃えるような夕焼けの中に消えていく。その足は確実に体育館へ向かっていた。幸村くんが出ていった後に赤也が困惑しきった表情で「ゆ、幸村部長いきなりどうしちゃったんすか!」と言ったが、みんな呆然とした様子で幸村くんが開けっ放しにした部室の扉を見つめていたので誰も答えない。そのとき俺はあることをふと思い出したのだった。

あ、そういえば俺この間幸村くんにスラムダンク貸したんだっけ。


(110407)
完全なるネタ。自分でも意味がわかりませんごめんなさい。ちなみに視点は丸井
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