Tin ice in the sun

コンビニ人間

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何年か前の芥川賞受賞作品、のはず。確か。 初めて読んだのですが(Twitterで追いかけてる人が感想をあげていて、それで気になって買った。そんなに高くなかったし)めちゃくちゃ……めちゃくちゃ面白かった……。 主人公は社会不適合者のひとり。この世界のことを合理的に見すぎていて社会で言うところの普通がわからない。 生き方が分からないし、それだとみんなを困らせるのでどうにかしないとなーと思って過ごしていた。そこで出会ったのがコンビニのアルバイト。 マニュアルだらけ、必要とする人間はほぼ毎日あらわれる、つまり社会の一員として必要とされるのが常にわかっている世界。 主人公はあまりにも合理的なので人間のことを獣とも思うし、コンビニという職場と家族での会話も同じようにしてしまう。 そんな中で出会うのは白羽という、同じく社会不適合者の男。この男がほんとうにクズで悲しいくらいに情けない男で、こんな男が出てくるのによく受賞できたなと思うレベル。(男はこういう男が嫌いかと思った。なにせ、かなり真面目に社会批判をするので。真っ当ではないが本人はとても真面目) 白羽は自分が結婚できない、社会に馴染めないのは自分の周りの人間のせいという。主人公は「マニュアルがあるんだからそれに入ればいい」と思っているが、白羽にはそんなことはできない。微妙にプライドが高い、うざい。 エンディングはかなりハッピーエンドだと思うが、この社会の生き方、あり方をぶつけてくる稀有な作品だと思った。 久々に日本の小説で、そして全然知らない作家でいいものを読んだ。おすすめです。(あんなに有名になってたんだから読んでる人多そう)


  • 4th.Mar
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