夢の続き


※悲恋、夢主の一人語り
※好きなキャラを相手に当てはめてください。



高校時代、初めて恋をした。
胸を焦がすようなと言えば聞こえはいいけど、本当に大変なことばかりだった。
モテる彼はみんなの注目の的だったし、最初は話しかけることすら出来なかった。
そんな彼となんとか共通の話題や趣味を見つけて必死に話しかけたおかげで、3年になる頃には付き合うことができた。
もちろん大学は彼と同じところを選んだ。
何より彼が大事だと思っていたし、何を犠牲にしても構わないと思っていた。
でもそんな私の想いは、彼には重荷だったのかもしれない。
練習やレースの邪魔にならないようにと、影ながらサポートしてきたはずだった。
だけど彼のそばにはいつしか知らない女の子がいた。
それが新しい彼女だと知るのに、半年もかかった。
いつの間にか、私は振られていたのだ。
自然消滅するなんて思っても見なかった。
好きだった。
誰よりも想っていた。
だけどその想いは全てが空回りして、誰にも届いていなかった。
だから最後くらい。
そう思って私は微笑んだ。

「今までありがとう。さよなら。」

彼は驚くでもなく、ただ私を見つめてた。
その目が突き刺さるようで、私はたまらなくなって駆け出した。
それから彼には会っていない。
校内で見かけた時は避けるようにしていたし、そもそも学部が違うのだから共通点も少ない。
別れを告げてから暫くは、体が軽くなったようだった。
ふわふわと宙に浮いてしまうんじゃないかとさえ思った。
何をしても現実味なんてない。
起きているのか、寝ているのかもわからない。
そうなって初めて気がついた。
彼のためにたくさんのものを犠牲にしていたことに。
気づけば私の周りには何もない。
友達も少なければ、趣味も彼から影響を受けたものしかない。
"私"というものが、あまりにも少なかった。
それから私は、彼を忘れるために今までの趣味をやめた。
目に付くことにはなんでも挑戦したし、いろんな人との交流を持った。
おかげで色々な経験ができたし、それのおかげで今は好きな仕事が出来ている。
充実しているはずだった。
だけど何故だろう。
私は今も、彼の夢を見続けている。
起きるたびに涙を流している自分がいる。
出来れば夢から覚めたくないとすら思う。
あの時気持ちを伝えていればこうはならなかっただろうか。
あの時すがっていれば、今も一緒にいられたんだろうか。
思い返しても答えなんて出るはずもない。
彼とはもう連絡が取れないのだから。
それでも寂しくて眠れない夜に名前を呼ぶくらい……
それくらいなら、きっと許される。

さぁ、幸せな夢の続きを。
夢の中ではもう、離したりしないから。



story.top
Top




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -