ズルい人


※荒北さんが酷いです。
※無理強いです。


ずっとずっと憧れていた。
礼儀正しい様も、しっかりしているようで時々抜けているところもその全てが私には輝いて見えた。
そんな彼に近づくのは恐れ多くて、私はいつも影から眺めていた。
見ているだけで良かった。
でもその思いは荒北くんによって掻き消された。
"福チャンの好きなもん教えてやるよ"
その言葉に乗ってしまった私は、出口のない闇に飲まれていった。




荒北くんに私の思いがばれてから、三ヶ月が過ぎた。
最初は唐揚げが好きだとか好みの食べ物だったはずのそれは、いつしか好きなタイプに移行していた。
意外なことに露出度の高い服装が好きだと聞いて私は戸惑った。
いつもはどちらかと言えば質素なカジュアルタイプが多く、私服のスカートは少ない。
ましてミニスカートなんて持ち合わせていない私は頭を悩ませた。
そんな私をいつも助けてくれるのは荒北くんだ。
今日も試作した唐揚げの味見をしてくれているし、新しい福富くんの情報を提供してくれる心強い存在だ。

「ナニ、スカート持ってねェの?」
「持ってるけど膝丈くらい……タイトなのしかないかな。」
「ヒラヒラしたのはァ?」
「持ってない……。」

うなだれる私の頭を、荒北くんは軽くぽんぽんと叩いた。

「今度の日曜、13時に男子寮前な。」
「えっ?」
「買い物付き合ってやるよ。」

ニッと笑う荒北くんは私の救世主だ。
二つ返事で快諾した私は、カラになったお弁当箱を受け取ると教室へ戻った。




日曜日、13時に男子寮へ行くと荒北くんはすでに待っていてくれた。
質素ながらもアクセントの効いたその服装は、雑誌の中のようで私はドキドキした。
荒北くんが見繕ってくれたら、私もあんな風になれるだろうか。
そんな思いを胸に荒北くんと買い物に出かけた。
あまり店を知らない私を荒北くんはリードしていろんな店を教えてくれた。
荒北くんはどう合わせていいかわからない私に見繕った服を渡して試着を勧めてくれる。

「ど、どうかな?」
「アー…グレーより白のが映えっからこっちにしとけ。」

そう言いながら選んでもらった服を私はレジに持って行った。
あまり着たことのないジャンルなだけに、着方も着崩し方もわからない。
そんな私のために、荒北くんは私の部屋まで来てくれた。

「とりあえずさっきの着てみろよ。」

そう言って荒北くんは私に背を向けた。
私は待たせては悪いと思い、荒北くんに背を向けて急いで服を脱いだ。
ふと買ったばかりの服を手に取ると、タグが少し邪魔なところについている。
なかなか切り取ることが出来ずにいると、いきなり後ろから抱きつかれた。

「うひゃっ。」

突然のことに驚いて変な声が出てしまった。
いつもの荒北くんならそれをケラケラと笑うのに、今日はその声が聞こえない。
どうしたのかと思っていたら、肌着にするりと手が入ってきた。

「えっ?ど、どうしたの?」
「この服ならこれ脱いだ方がいいんじゃナァイ?」

そう言いながら、荒北くんは器用に私の服を脱がしてしまった。
下着が露わになってしまった私は慌てて胸元を隠すけど、そんなの意味がないとでも言うようにずらされ、下着も剥ぎ取られてしまう。
荒北くんの方を向かされ、両手を掴まれて私は何も隠すことが出来ない。
パニックになりつつも首を振るけど、荒北くんはニヤリと笑った。

「ハッ、予想通りだな。」
「な、なにっ?荒北くんどうしたの?」
「どうしたも何も、俺は最初からそのつもりだけどォ?」

クツクツと笑いながら、荒北くんは私の首に噛み付いた。
所々強く吸い付かれ、私の体に赤い痕を残しながらゆっくりと下っていく。
どんなに力を込めても押さえつけられた腕はびくともしない。
一体どうしてこうなってしまったんだろう。
荒北くんは自分のベルトを外すとそれで私の手首を縛りあげた。
バランスの取れない私はそのままベッドに押し倒され、縛られた腕はヘッドボードに固定されてしまった。
私を縛り付けたことで自由になった荒北くんの両手は躊躇なく私の胸の先端を刺激する。
触れられたことのないその場所は、ただ不快感と痛みを生み出すだけで私は顔を歪めた。
声を上げようとすればすかさず噛み付くようにキスをされ、息をすることもままならない。
荒北くんは楽しそうに私の下腹部に触れ、身につけていた衣類を全て剥ぎ取ってしまった。
どんなに足をバタつかせても一度捕まってしまえばもうどうすることもできない。
荒北くんは私の足を持ち上げると、その中心へ顔を埋めた。

「ひゃっ」

湿り気を帯びた何かがそこに触れ、私は体を跳ねさせた。
ねっとりと絡めるように当たるそれが荒北くんの舌だと気づき、背中がぞわりとする。

「や、やだ!待って、ほんと、だめっ。」
「後悔しても知らねェぞ。」

必死に身を捩る私に、荒北くんはそう囁いた。
言葉の意味がわからずに固まる私に、荒北くんはクスリと笑う。
その笑みにゾクゾクと背筋を嫌なものが走った。
起き上がった荒北くんは自分の指を二本咥えたかと思えば、その指を私の中に押し込んだ。
メリメリと押し広げられるその感覚に息が止まりそうになる。

「はっ、痛ぁっ……。」
「だから言ったろォ?」

荒北くんは苦悶する私の目尻に軽く口付けて、指を乱暴に動かし始めた。
ぐちぐちという卑猥な音を立てたそれはどんどん激しさを増して行く。
もう痛みなのか違和感なのかわからなくなった頃、荒北くんは指を引き抜いて何かをあてがった。
やっと不快感から解放された、そう思った次の瞬間にそれは中へと入ってきた。
指なんかとは比べ物にならないほど大きなそれは恐らく荒北くんのソレなんだろう。
裂けるんじゃないかと思うほどの痛みに顔を歪める私とは対照的に、荒北くんの頬は紅潮しどこか恍惚とした表情を浮かべている。
必死に身を捩るも、荒北くんに腰を掴まれてしまった。

「や、抜いっ……てっ。」
「ここまで来てナニ言ってんのォ?」
「やだぁっ……福富、くんっ……。」

そう口にした瞬間、荒北くんは舌打ちをして私の腰を持ち上げた。
勢い良く打ち付けられる腰に息が止まる。
激しく何度も押し込まれて、私は気づけば泣いていた。
それを舐めとるように荒北くんの舌が這い、私の口に唾液を流し込んだ。
それを飲み込んでしまった私を見て荒北くんはニヤリと笑い、耳に軽く歯を立てた。

「ひっ。」
「イイコにしてなァ、もうすぐ終わっからァっ。」

そう囁いた声にゾクゾクした。
荒北くんは手を拘束していたベルトを外すと私を抱きかかえるようにして膝に座らせた。
より深く入ってきたそれに私は呻き声を漏らした。

「うぁっ……んぅっ……」
「すげーいい眺めェ。」

そう言って荒北くんは私を上下に揺さぶるように何度も動いた。
異物感と痛み、圧迫感だけが私を占める。
ただ何かを出し入れされている感覚に私の意識は全て持って行かれてしまう。
動きがだんだん大きくなってきたかと思えば、荒北くんの動きが止まる。
自分の中で何かがビクビクと震えているような感覚に、それが終わったのだと気づいた。
息が上がった荒北くんは満足そうに笑いそれを引き抜くと、早々に衣服を整えた。
そして呆然とする私に一言言い放ったのだった。

「俺、福ちゃんの好みとか知らねェから。」

そう言って部屋を出て行った。
残されたのは散らかった私の衣類と、見慣れないコンドームの袋。
最後にニヤリと笑ったその顔は、私の知らない荒北くんだった。
私は、荒北くんの何を知っていたのだろう。
ただとめどなく溢れる涙の意味もわからずに、私は布団に潜った。
仄かに、荒北くんの匂いがした。



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