誘い




「みんなでお祭り行こうよ。花火もあるって。

そう言い出したのはクラスメイトの雛美さんだった。
最初はみんな乗り気だったものの、日が近づくにつれ何かと用事が入ったとかで人数はどんどん減っていき、気づけば五人になっていた。
小鳥遊含む女子が三人と俺と寿一。
せっかくだからと靖友も誘えば、"福ちゃんが行くなら"ときてくれることになった。
そうして6人になった俺たちは場所取りと買い出しで別れることにした。

「新開、てめーが一番食うんだから自分で行けよ。」
「えっ、でも一人じゃ大変だよね。」
「む、なら俺も行こう。」
「福ちゃんはいんだよ、座ってろって。」
「それなら雛美が行ってあげなよ。」

別に1人でも構わなかったけど、せっかくだからと手を取れば薄っすら色づく頬に胸が跳ねた。
いつもと違い暗がりで見る姿は色っぽくて、ただまとめているだけの髪が誘っているかのようだと思った。
じっと見つめてしまったせいか雛美さんは俺を不思議そうな顔で見上げた。

「どうかした?」
「いやぁ、たまには祭もいいもんだと思ってさ。」
「そうだよね!あっ、新開くんはなに食べる?」

いつもより華やかに笑うその顔に俺はさらに惹きつけられた。
屋台の明かりに照らされて、楽しそうに笑う姿に……。
夏の色香に魅せられて、俺は君に恋をした。



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