「田仁志クン、零れてますよ?」

そういった永四郎は俺の口から零れたパンのかけらを綺麗な指で摘むと自然な動作でぱくりと食べてしまった。


零すのも仕方ない、なぜならあの永四郎が女子にモテて仕方ないあの永四郎が告白なんてしてきたからだ、なんと俺に。


「永四郎……正気かやぁ?」

「正気に決まってるでしょう、俺は田仁志クンの事が好きなんですもちろん恋愛感情的にね」


目眩がする……こんな事は女子にも言われた事がない、
ましてや男に言われた事なんて一度だって有るわけがない。


「ちゃーしてわんなんか……、どこが良かったんばぁ?」

「どこがって全部ですけど?」

「全部!?」

「はい、君のその顔も声も性格も体型も全部です」

「……」


永四郎は真顔でそう言い放った、その言葉に絶句せずにはいられない。
好きと言ってもらえること自体に悪い気はしないしむしろ嬉しい、だけど今は別だ嬉しい云々の前に混乱がひどいなんて返したらいいのかすらわからない。


「田仁志クン」

「ん?んぐっ……」


急に永四郎が近づいて来たと思った次の瞬間には目の前に顔があった、眼鏡のフレームまで3cmもない


「む……ぶえっ!!え、えいしろ!?」

「嫌そうじゃないですね、良かった」

「嫌って言うか、まあ……嫌……じゃないやしが」

「ならいいじゃないですか」


全くとんでもないことになってしまった。
でもにこっと普段見せない笑顔を突然向けられて何故かドキッとしてしまったというのは秘密にしておこう。


まずはキスからはじめよう


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きてたに足りないよ
title→レイラの初恋
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