真夜中目が覚めた、特別気分が悪かった訳でも眠れない訳でもない。まるでいま起きるのが当然なように目が覚めた、外では雨が降っていて電気のついていない真っ暗闇の部屋に雨音だけが静かに浸蝕してくる。

凛は起きてるだろうかなんて考えて時計に目をやったが針が示している時間を見てそんな考えはどこかにいった、午前三時だ起きているはずがない。そう思ったのに伸びた手は受話器を握りそのまま凛の携帯の番号を押していた。

「……知念?ぬーした、こんな時間に」

「あい、凛起きてたんかや」
こんな時間に電話をかけてこれは我ながらひどいとは思ったがつい思ったことが口から零れた

「ぬーよ知念が電話かけてきたあんに」

「わっさん……、何か凛の声聞きたくなったから」

そう言うと受話器の向こう側にいる彼が笑ったのが聞こえた

「なまぬ知念でーじ可愛い」

「……むう」


凛はよく俺に可愛いと言う、
正直俺は顔が怖いし不気味だと思う、だが凛はそんな俺を可愛い可愛いとよく言う。

「凛はわんぬくとぅよく可愛いってあびるけどぬーしてなんば?」

「は?ぬーしてって言われても困るやし、わんが可愛いって思うからあびてるだけだ」

「……凛は変わってるさぁ」

「やーには言われたくねぇ」
けらけらと笑いながらそういう彼の声を聞いているとなんだか安心して睡魔が襲ってきた、自分からかけた手前切るのも申し訳なく感じ中々切り出せない。

「なー知念、明日もはえーしもう寝ようぜ」

「丁度わんもそう思ってた」

あくびまじりに言う彼の言葉に言葉を返しじゃあまた明日と言うとどちらからともなく受話器を置いた。
俺は妙な安心感と温かい気持ちで布団に潜り込むと時計が見えた、時間は午前四時あと二時間もすれば凛に会えるきっと俺も彼も眠そうな顔をしてるんだろうと考えると口元が緩んだ。

おやすみ。


深海に降る雨


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title→カカリア
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