見渡す限り砂だけがある、もちろん砂漠だからだが日本にはあまりない景色でつい見とれてしまう。鈍い黄色に近い砂で出来た砂丘の上に青とも白ともとれる不思議な色をした月がぽっかりと浮かんでいる。

今日はここに野宿するようで砂漠の夜は冷えるので寝袋にくるまり一晩明かす事になった。ジョースターさんとアヴドゥルさんは既に眠ってしまっていてポルナレフはイギーと小競り合いをしていたが知らない間に寝息をたて二人仲良く眠ってしまっていた、僕はというとなぜだか目が冴えてしまい眠れないでいた。


星が綺麗だなー……やっぱり寒いと空気が澄んでるのだろうか、それに月も大きく見える。
そんな事を考えながら寝返りをうつと隣にいた承太郎と目があったどうやら彼も眠れないようだ。
「もしかして君も眠れないのかい?」
「まあな」
大きい声というわけではない、むしろ小さい声だが彼のブラックコーヒーの様な声は凛としていて耳に入ってくる。

「空を見ていたんだ、辺りに何もないからかな日本の僕たちが住んでいる所じゃ考えられない量の星だし月も大きくて色鮮やかに見える気がするんだ」
「そうだな」
確かによく見える、と彼は鮮やかな緑色をした瞳を空へとむけ呟いた。

ふいにあることを思い出した、前に本で見かけた言葉で印象に残ったものを。
「承太郎」
「ん、何だ?」
伝えてみようか
「いやその……えーっと月が綺麗ですね、なんて」
「……何だ改まって」
「いや、なんでもないんだ。そう思っただけで」
頬が耳が熱くなるのが自分でも分かった、たかが言葉を発しただけだというのに彼にこの言葉の本当の意味が伝わったかも怪しいというのに。
「あ、明日早いし僕先に寝るよおやすみ承太郎」
「ああ」
僕は逃げる様に彼とは逆の方向に向き目をギュッと閉じた、
それでも瞼の裏にはしっかりと美しい月とそれに負けない彼の瞳の色が焼き付いて頭から離れなかった。


月がきれいですね、なんて


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漱石さんまじハイセンス
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